正攻法こそ成功法 - 書評 - システム改革の正攻法

2010年08月27日 06:00

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システム改革の正攻法
大和田 尚孝 /
東京証券取引所監 /
日経コンピュータ

出版社より献本御礼。

この夏一番のセイコウ本。

改革すべき組織を持つ方、必見。

本書「システム改革の正攻法は、東京証券取引所がジェイコム株事件、そしてライブドア事件で受けた屈辱を、arrowheadで雪ぐ物語。

目次 – システム改革の正攻法 《ITpro書店/書籍》より

■ 総括編 ■
【第1章】 システムの改革の全体像~日本のIT史に残る成功事例~
■ 経営改革編 ■
【第2章】 CIOを社外から登用~復活への一歩を踏み出す~
【第3章】 西室元会長の覚悟~「すべてを見直し、世界と戦う」~
■ 現場改革編 ■
【第4章】 組織改革~ITガバナンスを取り戻す~
【第5章】 業務改革・要件定義~シンプルなシステムを作る~
【第6章】 ITベンダー選定~18グループから富士通を選ぶ~
■ 開発編 ■
【第7章】 鈴木CIOの決意~「不具合と手戻りを無くす」~
【第8章】 品質マネジメント~不具合ゼロを目指す~
【第9章】 性能/リスクマネジメント~非機能要件を満たす~
■ 検証編 ■
【第10章】 西室氏が明かす本音と恐怖心~「世界で勝つためにリスクを取った」~
【第11章】 鈴木CIO、上流への思いを独白~「30年間の理想を実現した」~
■ 技術編 ■
【第12章】 世界最速システムの全貌~スピード1000倍増の秘密~

この物語は

でも紹介されているが、「これはすごい」タグをつけて話を終わらせないためには本書にあたった方がよい。なにしろこちらにはソースコードの一部まで乗っているのだ。

今年1月4日に本番投入された arrowhead は、どうやら現時点では世界一速くて安くて堅牢な証券取引システムのようである。注文受付は2秒(2000ミリ秒)から2ミリ秒。5年前の1000倍の高速化。ライブドア事件で過負荷死した時の注文件数を、今では毎日のようにさばいている。ドッグイヤーに慣れたIT業界人でも、5年で1000倍というのは目を見張る数字である。もっともそれまでがショボカッタという見方もできるのであるが。

これを実現するのに東証がやったことは、以下の三つにまとめられるだろう。

  1. 客体から主体へ
  2. Daniel Pinkの言うところのOS2.0からOS3.0へ
  3. クローズからオープンへ

特に賞賛すべきなのが、オープンネス。証券取引所のような金融系のシステム開発の一部始終がここまでオープンにされたのは全世界初なのではないか。なにしろ、こんなことまで書いてある。

P.172 図12-3○アプリケーション実装面での、処理時間短縮の工夫

データ操作時の関数は「memxxx」を使用(「strxxx」は使わない)

そう。arrowheadはCOBOLではなくCで書かれているのだ。OSは Redhat Enterprise Linux 。金融系のシステムとは要件が対局にあるWeb系のエンジニアにもずいぶんとわかりやすい。

全く奇をてらったことがない。まさに正攻法。愚直といってもいい。しかしそれが成功への一番の近道であることを、成功した人ほど強く実感しているはずだ。

あとはそこに上場している、そしてこれから上場する企業がそれに続けるかどうかなのだが…

Dan the Open Source Programmer

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