菅・小沢決戦 ― 私が菅首相を選ぶ理由

2010年09月14日 12:52

本日は愈々民主党代表選の投票日。遅すぎる感は否めませんが、次期首相が約束される代表の選択基準を「指導性」に置くべきか?「見識」に置くべきか?改めて考えて見ました。 私にはどちらでも無い様に思えてなりません。


メデイアを通じて得た印象では、管首相の「指導性」は小沢氏の足元にも及ばず、「国家の在り方」や「制度設計」に関しての「見識」も小沢氏より遥かに劣ります。

小沢氏は、1993年に出版された「日本改造計画」で新自由主義を掲げ、多くの国民に共感を与えましたが、政策より政局を重視する小沢氏は、民由合併以降は党内左派との融合を進め、再分配論者になって仕舞いました。

実現性が肝要な政治家が、時により政策や方針を変える事は当然ですが、その理由を国民に説明しない小沢式政治スタイルは問題です。独断専行と言う国民主権制度では致命的な欠点を持つ小沢氏ですが、「日本国憲法改正試案」で独自の改憲案を示したり、議会制度の改正、憲法裁判所の創設、内閣法制局の廃止等を大胆に主張し、記者クラブ制度を廃止する方向で一般記者会見をフリージャーナリストにも開放するなど、国家の仕組みを変えようとする努力は敬服に値します。

小沢氏の改変努力はこれに留まらず、公務員制度改革 、特殊法人、独立行政法人、特別会計を見直す方向を明言するなど、現在の日本が避けては通れない改革の方向を具体的に明示する指導性でも、管首相の遠く及ぶ処ではありません。

『日本改造計画』で小さな政府路線を標榜し、新自由主義的な構造改革の先駆けだった小沢氏が民主党代表となってからは、その路線を急転させ「行き過ぎた市場主義」の修正と「国民の生活が第一」というスローガンを前面に打ち出し、参院選挙に際して小沢氏の持論であった消費税の10%への引き上げを主張した菅首相を、参院選敗北の犯人だと非難するなど、指導者と言うより「傲慢な独裁者」の傾向が目立ちます。

彼は又、徹底した自由貿易論者で「北東アジアから東南アジア、最終的には全世界まで広げたフリートレード(自由貿易)を実現することが夢である」と明言したかと思うと、農家、農村の活力を再生するためと称して、戸別所得補償制度を導入したり、地方格差を是正する言う名目で公共投資を大幅に増やすなど、バラ撒き、利益誘導型政治家の色も濃い矛盾に満ちた政治家でもあります。

外交や防衛問題に就いては、国連中心主義や軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンスは第7艦隊で十分だ等と選挙目当ての妄言に近い発言をするなど、鳩山前首相並の外交音痴振りを発揮しています。
然し、街頭演説も管首相の遠く及ばぬ気迫に満ちて居り、多くの苦境に直面した日本の指導者には適していると言う意見が出る事も理解出来ます。

この様に、菅、鳩山両氏より遥かに優れた指導性と力強さを感じさせる小沢氏ですが、敵と見なせば徹底した弾圧をする性格で「独断専行、側近政治、顔が見えない」との批判が絶えない事からも、指導者と言うよりも、国民主権の民主政治には一番不適な独裁者の性格の持ち主でもある事は忘れてはなりません。

この独裁的性格に嫌気をさして多くの側近が小沢氏から離れて行きましたが、現在でも側近となっている山岡賢次、山田正彦、 松木謙公、三井弁雄氏などは、典型的な利益誘導型政治家で、密室的で不潔な印象は免れません。

小沢氏は演説の中で「首相になったら出来ない物は無い」とまで言い切りました。この様な人物を権力の頂点に就ける事は避けなければなりません。これでは、官僚の権限を俺に寄こせば全て解決すると言うに近い危険な考えです。

担保された透明性の基で、公正な手順で物事を決める事が絶対条件の主権在民国家では、「不透明」と「説明責任不在」が最大の敵です。田中角栄、金丸信の両氏を政治の師と仰ぎ、何事も「自分の腹」で決める傾向の強い小沢氏には「透明性」と「説明責任」と言うDNAは持ち合わせていません。

然したる主張もなく、厚生大臣時代のひた向きさも失い、毅然とした強さも持たない菅首相が持つ唯一最大の資質は、常に仲間から説明責任を問われる市民運動出身だけに、独裁政治家になる資質に欠けている事です。

消費税問題で汗水垂らして関係者に陳謝して廻った菅首相と、「証拠不十分」で不起訴になった「政治と金問題」に不信を持つ国民に「強制捜査で潔白が証明された」と検察当局の結論を平気でひん曲げる小沢氏との違いに表れています。

国民主権国家は「透明性」「説明責任」「高い倫理性」を基本として成り立っています。これが指導者の基本的条件だと信ずる私は、消去法で菅首相を選択しても、小沢氏を選択する訳には参りません。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑