党派的な議論が問題を混乱させる

2010年10月23日 11:35

先日、私がブログ記事で言及した問題について、飯田泰之氏が齊籐誠氏に謝罪しています。私を根拠もなく罵倒して多くの人から批判を浴びると謝罪もしないで逃げた矢野浩一のような卑劣漢よりは好感がもてるが、飯田氏はまだ問題を理解していない。大事なのはDSGEの細かい話ではなく、齊藤氏が次のように指摘した論争の態度です:

経済学者として公に発言するのであれば、先端的な経済学研究において厳格なトレーニングを積んでからにしてほしい。準備不足でいい加減な発言が経済学者の意見として垂れ流されれば、迷惑を被るのは、地道に経済学を研究している人たちであり、もっと深刻な迷惑を被るのは、何も知らないままにそうした発言を押しつけられてしまう普通の人々である。


デフレ問題をめぐっては、まさに飯田氏のような「準備不足でいい加減な発言」が普通の人々ばかりか政治家をミスリードして政治的な騒動に発展しています。たとえば勝間和代氏の「50兆円の定額給付金を配れ」という提案に、飯田氏は「まったくそのとおりです。見事な説明ですね」と賛同し、その後も彼女の設立したデフレ脱却国民会議なるものの呼びかけ人になっている。その趣意書には次のように書かれています:

デフレも円高も政府と日銀が協調すればたちどころに終わらせることが出来ます。要するにモノに対してお金の量が不足しているわけですから、お金を刷って効率的に分配すればいいのです。ところが、マスコミがこのことをちゃんと伝えないのです。

これは深尾光洋氏も指摘するように明白な誤りです。これに賛同した飯田氏は、日本経済の問題が「お金を刷ったらたちどころに終わる」ような簡単なものだと思っているのでしょうか。彼が本気でそう考えているなら問題外ですが、そう思っていないとすれば、なぜこのような嘘に署名したのでしょうか。

経済学者が正しい経済政策を実現するために政治に関与するのは悪いことではないが、自分の望む目的を達するために無知なマスコミ有名人を政治的に利用してデマゴギーを流すのは、研究者のやることではない。目的が正しければ、嘘でもデマでも正当化されると考えるのは、かつての共産党の党派性の思想であり、これでは学問的な論争は成り立たない。

この趣意書には浜田宏一氏岩田規久男氏も賛同しているので、私は飯田氏だけを批判しているのではありません。むしろリフレ派の中では、飯田氏はまだ党派的イデオロギーに凝り固まっていないようにみえるので言っているのです。まだ学者としての将来もあるんだから、齊藤氏のアドバイスを肝に銘じてください。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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