Apple TVがもたらすネット家電とコンテンツ配信ビジネスの改革( @ogawakazuhiro )

AppleTVを購入してみました。
わずか8800円で、別売りの液晶テレビへの接続コードを足しても、1万円ちょっとの商品ですが、Appleと、SONYを始めとする世界中の家電メーカーの激烈な戦争の開始を予見させる画期的なな商品であると感じました。

家電メーカーだけでなく、TSUTAYAやDMM、アクトビラなどのコンテンツ配信サービス、もしくはDVD・ブルーレイのメディア販売や各種プレーヤーの需要減にもヒットしそうです。

Apple TVは、簡単にいうとストレージ容量を持たない、映像コンテンツのストリーミングデバイスです。いわゆるVOD(ビデオオンデマンド)デバイスであり、インターネット経由でコンテンツをレンタルしたり購入できますが、コンテンツそのものはネット上に置かれたままで、ダウンロードはしない仕組みです。だから早いし、ストレージ容量が不要、よって本体は小さくてすみます。この製品は過渡期的なものであり、いつかはLEDモニターに組み込まれた、一体型のインターネットテレビになっていくと思われます。いまは家庭の既存のテレビを乗っ取るための尖兵の役割を担っているのでしょう。

現時点ではApple TVは前述のごとくオンデマンドでコンテンツを配信するストリーミングサーバーですが、僕の予想では近いうちに、現在のテレビコンテンツの生放送にも対応してくると思います。同時に、YouTube、Flickr、mobilemeなどのネットコンテンツの配信にも対応している現状から、Ustreamにも対応し、電波による現在のテレビ放送を、インターネットで置き換えてくるのです。

つまり、テレビ放送の受信機の機能は徐々に不要になり、新たなネットテレビの時代になります。日本のテレビメーカーが3D対応や本体の薄型化のような目先の改革に血道をあげているのを横目に、Appleはテレビ向けのコンテンツ配信プラットフォームそのものを変えてしまおうという考えで開発を進めてきました。Google TVも基本は同じですが、コンテンツはSONY任せです。

僕がApple TVの開梱から利用開始までに要した時間はわずかに5分です。マニュアルも読んでいません。おどろくほどのかんたんさです。Google TVと違ってWebブラウザーをもっていないのですが、タッチパネルを持たないテレビからWebを操作することは難しく、無理にその機能を持たせようとすれば、リモコンが複雑化します。
Apple TVのリモコンは昔のiPodそっくりのシンプルさであり、それを担保するために、今回AppleはWeb閲覧機能を割愛したものとおもわれます。

前述のように、今回のApple TVの役割は、とにかく家庭のテレビにネットテレビ的要素を加えて、それに慣れさせることです。iPhoneやiPodと同じで、Apple TVは日を追うごとに進化します。いままでのテレビや家電一般と違って、あくまでソフトウェアに制御された機体だからです。
ここでも何回も強調していることですが、Appleはさまざまなハードウェアを、ハードが制御してソフトがアシストするデバイスから、ソフトウェアによって完全に制御され、ハードがそれアシストするというハードウェアへと変えることでイノベーションを起こしてきました。

この成功の方程式をどこまで拡大して適用できるのかはわかりませんが、すくなくともこのApple TVは、先行するiPhoneやiPadを追うように進化し、普及して行くことは間違いありません。
ただ、この本体がテレビデバイスに組み込まれて、一体型の商品に変わっていくことも、僕は時間の問題であると考えています。
米国のテレビ売り場はいまやサムスンの独壇場ですが、Appleがそれにかわる時代が近づいています。