就活生を救う意識改革 - 加藤智将

2010年12月06日 19:21

今年の就職内定率(10月1日時点)が57.6%と、96年以降最悪であるという現実は世間に大きな衝撃を与えた。しかも、調査対象に有名大学が多数含まれるため、実態はさらに低いと予想されている。こうした中で、“大学生の大手志向が問題”という声をよく聞くが、実際に就職活動を行い、内定を頂いた身として反論しておきたい。


まず、“大学生が大手ばかり受けている”という認識は間違いである。稀に大手ばかり数十社受けて内定を貰えなかった学生がメディアに取り上げられるが、これはレアケースである。現在の就職活動においては、まず大手ばかり数十社受けることが難しい。近年の就職活動を経験していない方のために、私(2011卒)が経験した就職活動の流れを説明しておこう。

3年10月…ナビサイトオープン。既に採用活動を始める外資系企業も。

3年11月~12月…合同説明会が行われる。また企業セミナーが始まり、個別説明会・面接を始める中小企業もある。

4年1月~2月…大企業が個別説明会を始める。ここで採用活動を行う中小企業も多い。

4年3月…個別説明会が本格化。

4年4月~5月…倫理憲章のため、この期間が大企業の面接ラッシュとなる。

4年6月~…ここからは中小企業中心の就職活動となる。

大学院生であれば、3年は修士1年にあたる。この流れを見れば分かる通り、大企業の面接が行われるのは実質二ヶ月であり、就職活動期間全てに渡って大企業を受けるのはそもそも不可能なのである。ほとんどの学生はそれまでに中小企業を受けており、それぞれ企業ポートフォリオを組んで行動している。この二ヶ月で数十社受けるとなると、毎日複数面接が入ることとなり、企業研究もままならないのではないか。何故周囲に相談しなかったのか不思議である。

さて、多くの学生が中小企業も受けており、かつ中小企業の求人倍率は大手よりも高い。何故内定に結びつかないのか。その理由はナビサイト中心の就活文化にある。

今の学生はあまり就職課を使わない。代わりにほとんどの学生が使っているのがナビサイトである。志望業界の企業を素早く見つけられ、また説明会の予約もネットからできるため、新卒学生の必須ツールとなっている。しかし、学生がナビサイトばかり使うところに問題がある。

筆者がナビサイトにログインしたところ、一万社以上の企業を掲載している大手ナビサイトはなかった。大手二社以外は5000社未満である。対して、リクルートワークスが求人倍率導出の際用いている全採用企業数は70万社以上ある。内定が取れないのも当然の話であろう。ナビサイトだけではとても全企業の情報は得られないことを、就活生は肝に銘じたほうが良い。

国立大学の中でも就職に強いと評判の福井大学では、就職課がしっかりと働き、これまで築いてきた企業とのネットワークも活用して就職支援を行っているという。学生側も、もっとこうしたサポートを利用する必要があるのではないか。また、就職をサポートする公的期間としてジョブパークというものがあるが、こちらも利用している学生を見たことがない。

就活生には、“ナビサイトだけではなく、大学の就職課やジョブパークを活用する”という意識の改革こそが必要なのである。
(加藤智将 東京大学大学院)

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