スマートTVを殺すテレビ局

2011年01月10日 17:33

大西さんの記事への答は、「スマートTVを民放もNHKも憎んでいる」ということです。ニューズウィークにも書いたように、彼らはわずか数百人のオンデマンド配信(それも視聴者が自分の機材で配信する)サービスを相手に最高裁まで訴訟を続けています。


こういう意思決定が行なわれる原因は、日本の会社が株主価値を無視してインサイダーの既得権益を最大化することを目的にしているからです。日経電子版も販売店の反発で購読料金を紙と同じにしたため、わずか10万部しか読まれず、今年出る朝日新聞の電子版も、同じ事情で記事の全文を配信できないとか。

これに対してアメリカでは、こういう中途半端な新事業をやると機関投資家に批判を浴びて株価がかえって下がるので、なるべくドラスティックな改革に見せようとします。また海部さんも指摘するように、ケーブルTVとの競争が激しいので、思い切った手を打たないと地上波そのものが埋もれてしまう。

ネットワーク局は、すべて異業種の企業に買収されました。成長の見込みがなくキャッシュの潤沢なテレビ局は、企業買収の絶好の対象です。しかし孫正義氏も三木谷浩氏もテレビ局の買収に失敗し、ホリエモンの場合は刑事事件にまで発展しました。このように資本主義が機能していないことが、日本のメディアが大きく立ち後れる原因です。

そしてFCCのジェナコフスキ委員長は、CESで「テレビを電波で見ている人はもう10%もいない」と演説し、それが占有している300MHzの周波数を返還させる方針を明らかにしました。もう政治力のないテレビ局は、政治的な草刈り場なのです。それに気づかない日本の民主党は鈍い。

このまま日本だけがテレビ局のわがままを許していると、山口さんもいうように映像メディア全体が「シャッター商店街」になってしまうでしょう。「光の道」などの無駄なインフラの議論はもうやめて、著作権に名を借りたテレビ局の横暴に歯止めをかけ、電波を開放する改革が必要です。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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