8-9千万の人口に合わせた価値観と社会システムを

2011年01月13日 11:00

人口減少の本質の1つは、歴史的にない規模で迫る少子高齢化と未婚/晩婚化の課題でもあります。年末にテレビなどで、「第三次ベビーブームは来ない」・「未婚率が大幅に上昇している」など深刻に取り上げていましたが、2005年の国勢調査と厚生労働省の人口動態統計からピックアップし、あえて1985年(理由は後述)との比較を行いました。


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その結果既に判明している点と含めますと、以下の点が挙げられます。
(1)日本は婚外子の比率が圧倒的に少ないため、カギとなる婚姻数が減少している。
(2)国際結婚は少しずつ増えているが、今の所は大勢を動かすものではない。
(3)出生率は大幅に低下している。
(4)行政やマスコミで出しにくい、50歳で未婚となる生涯未婚率の統計では1985年に30代だったことを省みると、30代未婚の男性で約55%・女性で約65%が生涯独身となる公算が強い。

出生率が大幅に低下している以上、子ども手当の効果は無いわけではありませんが、当座のところ人口を増やすには分母となる婚姻数そのものを増やすしかありません。ところが昨今の婚活ブームには限界が見られるようになり、また急激な社会的変化に伴う人口増加が望みにくい以上、ここ数十年の人口減少トレンドは避けられません。
そのため短中期から長期的な視野を考えて、以下のような方策が欠かせないでしょう。

1)数十年のトレンドでは、国内総人口が8-9千万になることを前提とした社会システムや制度設計を行う・・・マクロの観点では少ない人口でも生産性を高くすることや女性の社会参加を高めるといったこともありますが、シングル向け賃貸主体の住まいなど住環境などを含めたものが欠かせなくなります。

2)ライフステージの変化を受け入れる・・・近代社会では世界的に「通学-就職-結婚-出産-育児」といった生き方が、ライフステージ・企業の人事システム共に合理的な方法でした。ところが世界的に若年層の雇用情勢が厳しいうえ、日本のように新卒一括採用でかつ非正規雇用との格差が大きくなりますと、就職に1度失敗してしまいますと、それ以降の人生展開が難しくなってしまいます。
既に欧米では「先に出産-子育てしながら大学に通う」などといった多様なライフステージができていますが、社会的な価値観としてもそうした傾向を受け入れる段階に来ていると思われます。

3)提供する側の行政・企業も、シングル市場を踏まえた展開をする・・・すでに「おひとりさま」の言葉が出てきましたが、例えば固定電話から携帯電話に移行したように、飲食店も1人で入りやすい雰囲気を作る・服を選ぶ際にも店員によるコーディネートを行う色合いを強める、などといった展開が欠かせません。

4)価値観のシフト・・・新聞やテレビ、また一部の論調ではポイントを矮小化して「若者はけしからん」的な論調になりがちですが、価値観の多様化も起こっており、あえて非婚をする、また夫婦などパートナーでも子どもは作らないなどの選択も見られるようになりました。
人口変動に関して日本の歴史を紐解いてみますと、人口増加期と停滞/減少期の2つがありますが、後者の場合は(1)国内の文化芸術面で花開く時期になる。(2)価値観が多様化して生きやすくなる。というプラスの面もありますので、あえて次の社会の変革期を待つ、といった選択肢もあるものと考えます。
自戒の面もありますが、こうしたオピニオンサイトでは大上段に「かくあるべし」となりがちです。案外社会を動かすには、趣味や表現活動・創作などによる原動力のほうがインパクトの強い場合があります。これからは時代の証人として、例えばプロアマの垣根が低くなった映像制作などを本業の傍らで行ったほうが良いかもしれません。

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