もう「平和ボケ」から覚めよう

2011年02月21日 10:43

アゴラでは「筋の通った極論」は歓迎します。問題提起が明確なほうが議論はしやすいからです。しかし多くの人に批判されても、ナンセンスな話を繰り返すのは困ります。けさの石水さんの記事は、これまでの「非武装中立」論の繰り返しです。

朝まで生テレビでのホリエモンや東浩紀氏の発言は、日本人に特有の「平和ボケ」というしかない。世界中で戦争は日常的に起こっており、ツイッターで生命は守れません。日本の周辺でも昨年、北朝鮮が韓国を砲撃したばかりです。


石水さんは中国政府がチベットで何をやっているか、天安門事件で何をやったか、知らないのですか。文化大革命で、少なくとも2000万人が殺害されたことを知らないのですか。中国が台湾を武力支配しないのは、米軍の軍事力があるからです。軍事力なしに「世界の世論が許さない」といった曖昧な話で彼らの行動が抑止できるわけがない。

国民国家の時代が終わったとかグローバリゼーションとかいうのは、経済の話。軍事的には国民国家による武力の独占は圧倒的で、これをいかにコントロールするかが国家の命運を決めます。民主主義とは、政府による一方的な暴力の発動を抑止する制度であり、それを欠いた中国がみずから暴力を抑制すると考える理由はありません。

マスコミはエジプトの政変を「ネット革命」などと言っているが、Facebookで国家を転覆することはできない。街頭デモぐらい、軍が出てくれば武力制圧するのは簡単です。エジプト軍がそれをしなかったのは、政権の後ろ盾となっているアメリカが許さなかったからです。軍の武器はほとんどアメリカ製であり、ムバラクに引導を渡したのは米国務省です。エジプト情勢の帰趨を決めたのは、アメリカの圧倒的な軍事力なのです。

世界中で暴動や内乱が起こっているのに、平和を水や空気のような当たり前のものだと思っている日本は、たぶん世界でもっとも幸せな国でしょう。奇妙な憲法によってつくられた特殊な国家意識が、国家戦略を失わせ、政治の求心力をなくしているのです。国家の本質は暴力装置であり、軍事力をもたない国家なんて形容矛盾です。いい加減に平和ボケから覚め、憲法を改正して自前の軍をもつことを議論すべきです。

池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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