カンニングは犯罪か

2011年03月04日 17:16

ネット上では、大学入試のカンニング事件について延々と論争が続いています。町村泰貴氏

カンニングでばれて受験資格を失ったり、学内定期試験でも落第したり停学になったりしている例は、数知れず存在する。そういう例に比して、今回の事例が取り立てて悪質だというものでもない。

として、警察が逮捕したのは行き過ぎだとの立場です。これに対して玉井克哉氏

カンニング受験生について「逮捕するのは行き過ぎ」という議論、常軌を逸していると私は思う。犯罪が発覚した。逃亡や証拠隠滅の恐れがある。逮捕されるのは当然でしょう。日本は法治国なんだから。


という意見です。茂木健一郎氏

報道された複数の大学を共通して受験している学生を、大学間で情報を共有して割り出せば、少数の候補を特定できたはずである。さらに、インターネット上で寄せられた回答と入試の答案を比較すれば、その類似性からかなりの確率で受験生を特定できたものと推定される。最終的には、大学側が学生から事情を聞いて、事件を処理することは可能だったし、またそうすべきだったと考える。

と述べ、これは私のブログ(追記)と同じです。私は、当然のことながら茂木氏と同じ意見です。京大以外の大学については、すでに合格発表も終わっており、警察に捜査させる緊急性がない。京大についても合格発表は3月10日なので、それまでに受験生を割り出すことはそうむずかしくない。手口は非常に単純だからです。

もちろん警察が強制捜査を行えば迅速に解決でき、証拠隠滅なども防げるというメリットはありますが、他方でカンニングで逮捕するという前例のない厳罰を課すことになります。玉井氏のように、これを犯罪と考えれば逮捕は当然ですが、少なくとも刑法ではカンニングを犯罪と規定していない。「偽計業務妨害」というのはかなり苦しい罪名で、普通のカンニングにも今後は刑事罰を課すのか、などむずかしい問題が残ります。

大学が異例に早く被害届を出したのは、手口が物珍しくてマスコミが騒いだから「厳正に処分する」という姿勢を見せなければならない、という政治的配慮が作用した印象が強い。教育的配慮という点では、疑問の残る決定です。この事件についてのみなさんの意見をお寄せください。投稿規定はこちら

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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