記憶重視の入試は機能している - 宮本佳昭

2011年03月07日 11:56

ムーアの法則によってテラバイトの要領を記録できるハードディスクが6,000円台で購入できるようになった。また、クラウドの発達によって多くの情報をWeb上に預けることにで、ネットにつながるデバイスでさえあればあらゆる情報が簡単に取り出せるようになった。こういった技術の発達で従来の記憶重視の入試が意味をなさなくなってきたのは言うまでもない。


情報(知識)は個人で所有する時代から共有する時代に変わったのだ。一人の人物が知っている情報量はたかが知れてる。みんなで情報を共有し合う方が圧倒的な量になり、社会的にも効率的である。情報はネット上に溢れているので、むしろこれから求められる能力はいかに大量の情報の中から必要な情報を素早く見つけだし活用することができるかどうかである。

そういった意味でも、先日起きた京大入試のカンニング事件は入試形式の形骸化を見直すいい機会になった。ただ、少なくとも今のところは現状の形骸化した入試問題が機能していると筆者は思っている。一般的に言ってしまえば、時代に適応していく人の大半は記憶重視の入試でも要領よくこなすからだ。記憶術のような、語呂合わせやイメージで勉強を覚えたとしても限界がある。有名大学に合格するためには、小手先のテクニックだけではなく、論理的な思考をもとに記憶することが不可欠になってくるからである。

少し話が変わるが、これからの日本は終身雇用制度が崩れ始め、大企業で働くリスクが高まってきている。この事実は池田さんをはじめとする多くの識者が唱えていることだが、依然として就職人気ランキングの上位は大企業もしくは公務員である。その原因は、少なくとも今は大企業や公務員の方が安定しているからである。

これと同様のことが記憶重視の入試にも言える。

日本の大企業の採用者は履歴書による選考の段階で高学歴者で固められているし、高給取りとされている外資系企業も然りである。有名なお金持ち、例えば堀江貴文氏は東大に入学しているし、楽天の三木谷浩史氏は一橋大学を卒業している。サイバーエージェントの藤田晋氏は青山学院大学卒業である。

つまり、大きな指標となるもののほとんどが記憶重視の試験をトップと言わないまでも、かなり上位で勝ち抜いてきた人たちなのである。これだと、学生やその親が記憶重視の入試にすがり、有名大学に殺到するのも無理はない。

前例が無い(知らない)ものよりも今ある現実の方が人は信じてしまう。記憶重視の入試に対して多くの人が疑問を抱くためには、学歴が全くないネット使いのような集団で固められた企業が有名企業に成長するしかないように思える。そういった企業が出てきた時初めて、記憶重視の入試が終わりを告げるのではないだろうか。

(宮本佳昭 会社員)

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