復興支援のための期限付き地方税創設運動を - 本山貴春

2011年03月24日 10:35

3月23日、政府は東日本大震災の直接的被害額は最大25兆円に上るという試算を公表した。現時点で、少なくとも阪神淡路大震災(平成7年)の2.5倍を超える規模だ。これと別に原発事故などの影響が今後加算されていくことになる。


わが国のGDPに対する影響も避けられない。何より日本人全体に及ぼす精神的影響が、日本の活力を衰えさせることになるかも知れない。地震の被害がなかった西日本において、さまざまなイベントが「自粛」されていることも、日本経済に悪影響を与えることになるだろう。

現時点においては、一刻も早い人命救助、一日も早い災害復旧が重要だが、遠からず直面するのが「被災地の社会インフラ復旧の費用」の問題である。当面は子ども手当て・高速道路無償化などの予算見直しで臨時費用が割り当てられることになるだろうが、長期的には14兆円から16兆円必要になると見込まれている。これに原発被害の補償なども加わってくると、今後必要になる公費は計り知れない。

政府は今後「増税か国債発行か」という選択を迫られる。しかし安易な増税は国民の理解を得るのが難しい。政治家が(議員報酬削減など)身を切った上で、でなければ選挙に負けることになるので、政治家じしんが増税に反対する。これまでの政治の流れがまさにそうで、その結果日本は借金大国になった。増税を避けて震災復興国債を起債しても、理論上「増税の先延ばし」に変わりないし、今回の起債が財政破綻のきっかけとなる可能性すらある。

引くも地獄、進むも地獄とはこのことだ。少なくとも今の政府には、なすすべが無い。私たちは日本国民として政府に期待できない。

ではどうすべきか。私は『復興支援のための期限付き地方税創設運動』を西日本を中心として市民主導で展開することを提案したい。地方自治体は原則として自由に「法定外税」を創設できる。法定外とは、「国法に拠らない」という意味で、ここでは地方自治体の定める税を意味する。法定外税にも普通税と目的税がある。すなわち、震災で無傷だった全国の自治体が法定外目的税を創設し、期限を切って集めた税金を被災自治体の復興費用として寄付するのである。

その場合、各自治体でもっとも収益性の高い産業分野、あるいは物品に課税する。たとえば福岡市であれば飲食業が盛んなので飲食業の売り上げに数%課税する。鹿児島県であれば芋焼酎が名産なので芋焼酎の売り上げに数%課税する。そして「福岡で飲み食いすれば復興支援になります!」「鹿児島の芋焼酎を買えば復興支援になります!」と宣伝するわけだ。

人は何かしら消費するものだ。しかしどうせ消費するなら「同時に復興支援にもなる」としたら、そちらを選ぶかも知れない。義捐金を払い続けることはしんどいが、普段の消費行動で支援になるなら続けられる。そして負担できる費用は地方によって違う。しかし地方自治体ごとに、もっとも体力のある分野で貢献できるなら、国が一律増税するよりも多くの資金を集めることができるかも知れない。萎縮傾向にある消費を奨励できるので、経済的にも好循環をもたらすに違いない。課税対象になる業界は、却って潤うことになる。

そして「わが町ではどの分野で貢献しようか」という議論を全国で巻き起こすなら、地方政治の活性化にも繋がる。そして東北関東の被災地のことを「他人事ではない」という思いで、日本全体が一つになれる。実際に、震災の影響で日本経済が衰退すれば、西日本の住民もダメージを被るのだ。これは時間の問題だろう。

折しも、統一地方選挙が始まる。もし全国の地方議員や地方議員候補者が「言うべきことが無く」て選挙運動を自粛するようであれば、以上の提案をしてみてはどうだろうか。このような危機のときこそ、政治家は打開策を示すべきだ。

(本山貴春 特定非営利活動法人ディベイトジャパン 専務理事)

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