首都圏の夏季電力不足に備える節電の本丸は大規模事業所

2011年03月28日 12:05

首都圏の電力消費が夏場に深刻な不足が起こってきます。夏の電力需要は、昨年の猛暑には6000万キロワットで、それを下回っても5500万キロワット。東電の7月末の想定供給能力の4650万キロワットを大きく上回っています。当然どう節電し、この事態に備えるかでさまざまな議論が始まりした。


まずあまり意味が無いと思われるのはサマータイムの導入です。日中の12時頃から17時頃まで消費電力は高止まりするので、1時間程度は生活時間を早めても、ほとんどピーク時対策にはなりそうにありません。フレックス制度も多くは、電力消費の時間帯がコアタイムとなるために、あまり効果は期待できません。図は電力10社の夏季の電力消費のピーク時の一日の電力消費の動きを見ればそのことがよくわかると思います。一日の電力消費_l

一般家庭での節電については、消費電力が下がっている深夜から朝の6時ぐらいまでに炊飯、洗濯、掃除などを済ませてしまうこと、昼間は高齢者の方がいらっしゃるなどの、よほどの事情でもない限りクーラーを使わないこと、また電灯をLEDにすることでかなり節電効果がでてくると思います。
しかし、東電での一般家庭での電力使用量はほぼ全体の三分の一程度なので、一般家庭での節電が進んでも電力不足が解消できるわけではありません。

中小の商店や工場などの電力消費量は4.1%程度なので、こちらも節電によって電力に余裕をつくることは期待できません。

したがって、電力消費の6割強を占める「特定規模需要」である、大きな工場、オフィスビル、大型商業施設などの電力消費をどう抑えるかが焦点になってきます。
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まずやるべきは、自家発電をフル稼働させることでしょう。自家発電の稼働をどの程度あげることができるのかを早期に把握すること、余剰電力販売のインセンティブをつくることは最初にするべきことでしょう。

東電管轄内では、1,100件の施設で220万kWが自家発電で賄われているようですが、たとえ夏場の電力消費のピーク対策には間に合わないとしても、電力供給不足は長期化が予測されているので、さらに自家発電施設を増やす手を打つことです。それで一気に電力自由化への動きを促進すべきです。
電力自由化 – Wikipedia :

消費電力の多いデータセンターなどは、停電にそなえ自家発電設備を持っていますが、それも含めて自家発電の供給力をあげるためには稼動させる燃料の確保が問題になってきます。
計画停電のデータセンターへの影響なし、自家発電の燃料確保に動く

昼間の電力消費の値上げは現実的です。一般家庭むけに電力値上げを行うと、直ちに生活を圧迫するので、昼間の電力値上げで対応するとしても、おそらく時間帯別の使用電力量を計測するメーターがついていないのではないでしょうか。ちょっとわかりません。野口悠紀雄教授は、40アンペア以上の契約について料金値上げを緊急提言されていますが、そちらのほうが現実的かもしれません。

緊急提言2: 基本料金の見直しで、節電と利用平準化を進めよう|野口悠紀雄 未曾有の大震災 日本はいかに対応すべきか|ダイヤモンド・オンライン :

それよりも「特定規模需要」をどう抑えるかは、いくら家庭で節電しても、電力不足対策の本丸です。しかし、うまくやらないと経済活動が停滞し、それはやがて一般の人びとにも影響してきます。

これらの「特定規模需要」の大口需要家に対して東電が検討しているように昼間の電力値上げを行えば、節電対策はさらに進み、おそらく、他地域への製造の一時的振替はさらに進んでいくものと思われます。
たとえば、ビルの昼間の電気料金が50%増にでもなれば、エアコンの設定温度は数度は高く設定されるでしょうし、おそらく照明設備はすべてLEDに変わっていくものと思われます。
工場も深夜稼働中心へシフトしていくものと思われます。自家発電への切り替えも起こるでしょう。また首都では展示会などのイベントが多数開催されていますが、それも名古屋や関西での開催に振替たほうがよさそうです。

また、政府が、東電管轄内の事業所には、盆休みの長期化、いってみれば欧米のようなバカンス制度の導入を誘導することもかなり有効だと思われます。

しかし、それらの対策で、まかり間違っても全国一律の節電対策や、電気料金の値上げなどはやってはいけないことです。現在問題になっているのはあくまで首都圏や東電管轄地域で起こっていることで、被災地の東北を除くと、他地域では節電対策よりも、しばらくは低下せざるを得ない首都圏の経済をどうカバーするかであり、むしろ地方の経済をどう活性化させるかが重要だと思います。

大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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