震災復興のシナリオづくりに向けて - 村林 正次

2011年04月05日 10:30

東日本大震災については、連日多くの情報が飛び交っていますが、経済や政治、原発の話題は多いが復興へのシナリオについて少ないので、少し触れたいと思います。
とはいっても今回の未曾有の被害克服の復興シナリオを簡単に述べることは容易ではありませんが枠組みだけでも共有できればとの思いです。


<復興の原則>
2050年には地方圏を中心に約4000万人人口が減少することを念頭においた被災地そして国土の再生を目指したいと思います。
・一元的・継続的な組織の設営
・経済復興と地域復興との連動的発想
・「復興」とは、被災地の原状回復から国土の新たなビジョンの実現までの広い概念
・10~20年後には現状よりさらに良い生活環境と地域構造への転換。
・復旧としての緊急対策と新たな地域創生への中長期対策の並行的取り組み。
・個々の被災地区から国土までのエリアと緊急(~1年)、中期(~5年)、長期(~10年~)の時期別ビジョン・プランニングと事業化。
・プランニングを見越した早急かつ詳細な被害実態の把握。
・復旧のみならず、定住による新たな生活と定住先との協働的再生(第二の故郷(ふるさと)創成)。
・膨大な公共事業を単にPFI活用に留まらず、国内外の民間資本導入を図る「復興PPP」への取り組み。
・地域再生のための事業実施部隊の編成。

<復興シナリオに向けて>
以上の復興の原則を補完しつつ、シナリオ作成の方向を探ってみます。

◆一元的復興対策組織
まずは、復興さらには地域再生のための一元的な専門組織の設営が必要でしょう。帝都復興院を捩ったような「復興庁」構想がでていますが、規模も異なり、当時は何よりも後藤新平という逸材が居ました(当時は人材(後藤)が居たが、資金が無く苦労 ⇒現在は資金あるが人材が居ない)。都市計画を学んだ人達にとっては教科書的アイデアですが、十分に現状を踏まえた議論をしないと単なる机上の論になってしまいます。豪腕政治家や大風呂敷が必要との声もありますが、当時と現在では全く状況が違います。ちなみに後藤は広い知見を持つ優れた官僚・政治家です。現在は都市・地域計画分野は発達していますし、行政組織もしっかりしており、資金もありますので、本来はより高度な組織体制が組めるはずです。

復興に対して一元的な責任と権限を付与し、実行部隊と連動していることが重要です。屋上屋を重ねるではなく、平常時における都市・地域再生のための組織を母体にしてもいいのではと思います。また、地元行政は緊急対応に追われるため、並行し中長期視点での計画づくりや緊急措置のアイデアを他の専門家がサポートすることが不可欠ですが、このためにも国の支援が重要です。

◆第二の故郷(ふるさと)創成
当面の疎開・移住も重要ですが、臨時的移住ではなく、一団の定住による被災者達の生活設計と定住先の地域再生の両建を図ることすなわち、単に仮住まいではなく地域の生活・産業ノウハウを持って定住することが重要です例えば、
①当面は東北の漁港はフル稼働は不可なので、漁港つながりで他の漁港と新たな漁港づくりも可能かもしれません。
②地方都市の中心市街地活性化もなかなか進みませんが、これとの協働も可能でしょう。

この実現のためには、受け入れ側の早急な受け入れ計画を策定し、被災者サイドに協働的定住の具体的提案を行うことが不可欠です。

◆10年、20年後もこの1年が勝負
緊急的復旧事業と中長期的事業とを峻別しつつも並行的に取り組むことが不可欠です。最悪の結果は、10年後に仮設空間だけが残されることです。また、10年後の姿もこの1年に方針を定めることが必要となります。

◆事業実施部隊の編成
全国ベースで個別地区の計画・事業を担える力量のある事業組織、それも単に自ら事業を実施するのみではなく、各種資金を調達でき、地域の事業体等をサポートできる機能を有している必要があります。例えばUR のような公的事業 体をまだ人材が残っている間に最大活用し、さらにこれをもとに民間デベや事業型NPO等との連携によりダイナミックな事業展開を行えるでしょう。関東大震災後設立の同潤会は先進的な復興住宅を大量供給しましたが、さらなる展開が可能だと思われます。

◆復興PPPの導入
インフラ整備及びこれと連動した地域開発・経済開発を民間の構想力と資金を最大限活用するためには、従来型のPFIではなく特区型の「復興PPP」によることが必要です。特区にしても従来の規制緩和的なものではなく、既存制度にこだわらずに事業に必要な仕組みを講ずることより、その仕組みが今後の新たなルールになるようにすべきです。
(村林正次 ㈱価値総合研究所 常務理事)

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