「関東軍」になった電波官僚

2011年12月02日 01:53

朝日新聞によれば、総務省は「来年から周波数オークションを行なうべき」という政策仕分けの提言に従わず、来年の900MHz帯の割り当てを「美人投票」で行なうことを決めた。時間がないというのが表向きの理由だが、これは嘘である。ニューズウィークにも書いたように、本当の理由は天下り団体「移動無線センター」を延命する資金をソフトバンクに出させることだ。オークションにすると、競売収入は一般会計に入るので、総務省が裁量的に使うことはできないからだ。


仙谷由人氏が「天下りのための裁量行政は許さない」と追及し、首相を議長とする行政刷新会議が提言したにもかかわらず、それを無視して美人投票を強行する総務省は、もはや内閣のコントロールを離れて暴走する「関東軍」である。このような閣内不一致を放置すると、野田内閣の求心力は失われ、政権は空中分解するだろう。

こういう暴走が可能になるのは、マスコミが報道しないからだ。原子力では正義を振り回す朝日新聞も、短く報道するだけで「スマートフォンの急速な普及で回線がパンクしかねない」という総務省の嘘を受け売りしている。パンクしているのは設備投資をケチってきたソフトバンクだけで、NTTドコモもKDDIも余裕がある。電波の逼迫は、ソフトバンクがSIMロックをはずしてドコモの端末でもiPhoneやiPadを使えるようにすれば、すぐ解決する。

スマートフォンに対応して電波の再配置を急ぐために必要なのは、裁量行政による電波社会主義ではなく、インセンティブ・オークションのような市場メカニズムの活用である。アメリカのCEA(経済諮問会議)は「電波が足りない」というキャンペーンを始め、FCCは浪費されている電波を取り戻す方針を打ち出した。このままでは日本はアメリカだけでなく、電波の第二市場を導入するEUにも引き離され、「電波のガラパゴス」になるだろう。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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