国立大学と県立大学は統廃合が当然!

大学経営に、なんぼのカネが必要か。おおよそ学生1人あたり250万円/年。これを「単位費用」と言う。もっとも、医学部は400万円、理系170万円、文系20万円と、学部間で大きな差がある。だが、日本の国公立の場合、学部を問わず、授業料は50万円/年そこそこ。私学だと、文系60万円~医学部1000万円/年。


文系のみの私学の場合、費用が20万円だから、授業料60万円でも、じつはボロ儲け。しかし、文系単科では、よほどプレステージがないと学生集めが難しいかも。そこで、経営安定とイメージ向上のために総合大学にしたいのだが、この場合、文系からの授業料で理系の連中の補填をする、なんていうことが起こってくる。うまく入学金や施設費その他を貯め込み、あわよくば医学部まで持って、大学病院を開けるようになると、これが大金を稼ぎ出して、大学全体が潤う。いずれにせよ、私学の場合、どうやって経営するか、それぞれの大学の理念や特色を踏まえて、学部学科構成と長期財務戦略が求められる。

一方、独立行政法人になったとはいえ、あいかわらず脳天気なのが国公立。一律の授業料50万円と、単位費用との差額は、結局、すべて国庫にケツを拭かせている。県立大学ったって、国からの地方交付税で自治体に補填されており、実態は国立そのもの。つまり、私学の場合、基本的に学生たちが自腹で大学の経費を賄っているのに対し、国公立の学生は、授業料との費用との差額200万円/年、4年間で800万円を、まるまる奨学金として国からもらっているに等しい。

国公立の大学生は、全体の約二割。戦前のように、国立の学生が明日の国家の命運を担う、というのならともかく、旧帝大を除けば、のきなみ、一流私学の後塵を喫している。なのに、なんで、その程度の並の学生に、200万円/年も税金を出さんとならんの? それで、その言いわけのように、近年、国が私大にも補助金を出すようになったが、1人17万円弱/年。しかし、4年間で国公立は800万円、私大は66万円、って、ちょっと、あなた、人をバカにしてない? 1票の格差が2.3倍でも違憲だっちゅうのに、12倍の格差って、国公立の学生って、私大の学生の12倍も偉いんかい?

とくに救いがたいのが、県立大学。ムダだらけの大阪なんか、市立大学まで持っている。ただでさえ、寄せ集めの駅弁国立大学だらけなのに、なぜこんなのがはびこったか、というと、大学が、箱物行政の化け物だから。図書館と博物館と県民運動場を合わせて県庁舎を新築するに等しいドカチン予算が国から付いた。それにみんなで群がって、各県ごとに国立大学と県立大学、さらに市立大学まで作っちまった。それさえ作れば、その後も、そのそれぞれの学生1人1人に800万円のお小づかいが国からもらえた。そして、その結果、県庁や市役所でふんぞり返る、「地元では優秀」な人材を育成しただけ。

全部の国公立がいらんとは言わん。だが、高等教育の機会としては、全国にすでにこれだけ私大がある以上、国立・県立・市立の重複高等公教育行政は、どうやっても理屈が通らぬ。研究拠点だって、旧帝大なみに各道州1校に集中して競争した方が効率的。財政難なんだから、国公立大学の統廃合は、もはや当然。むしろセンター試験上位2割の学生全員に無償奨学金800万円を与えて、本人に自由に大学を選ばせろよ。同じ大学なら、内実そのもので私学とまともに勝負してみろよ。大した理念も無く、税金をくすね取った学費の安さだけで学生を集めて太りまくるヌルマ湯国公立大学など、みんな、ほびろん!

by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰博士
(大阪芸術大学哲学教授、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)