選挙権返上の提案 --- 駒沢 丈治

2012年02月07日 08:00

今週のテーマ「高齢者はどう譲歩すべきか」について、私からもひとつ提案させていただきたい。

現在「世代間格差」が大きな問題となっているが、その主たる原因が世代間における投票率の違いにあることが指摘されている。ならば「どうすれば投票率の差を是正できるか?」が、高齢者が譲歩するポイントのひとつとなるだろう。

たとえば「選挙権返上制」はどうか?


選挙権返上制とは「公的年金の受給開始に伴って選挙権が失効する」というものだ。現在のように一度与えられた選挙権が生涯有効なのではなく、公的年金を受け取る代わりに選挙権を失う。

もちろん公的年金の受給を延期(先延ばし)することによって、選挙権を残すこともできる。国民一人ひとりが「公的年金か一票か?」を自己の判断で選ぶ(選べる)制度である。

【根拠】

現在、未成年には選挙権が与えられていない。それは未成年が政治的状況を十分把握することができず、また社会から保護される対象であるからだ。だとしたら、高齢となって社会から保護される立場になった者も、選挙権を返上するのが自然である。

そもそも公的年金を受け取るということは、社会の第一線を引退し、その運営を次の世代に委ねるということである。にもかかわらず選挙権を行使して政治に影響を与えるというのは、矛盾した行為ではないだろうか。

【効果】

「選挙権返上制」が実現すれば、選挙における高齢者の発言力が弱まり、相対的に若い世代の発言力が高まる。候補者には「これまで何をしてきたか」という過去の実績よりも、「これから何をするか」「この国をどうするのか」というビジョンが求められる。

また若い世代は政治的なしがらみや既得権に縛られないぶん、自由に投票することができる。これによって「5期20年」といった多選(政権の長期化)や、二世・三世議員の当選も難しくなる。候補者の能力や魅力、政策が反映されやすくなる。

公的年金の受給開始を延期する者が増えれば、年金の支払総額が減り、収支も改善する。

【実施案】

公的年金を受給する資格が発生した段階で、各自が自己の判断で、

・公的年金の受け取りを開始すると同時に、選挙権を返上する

・公的年金の受け取りを延期することによって、選挙権を保つ

のどちらかを選ぶ。見直しはいつでも可能だが、一度返上した選挙権を取り戻すことはできない。

公的年金の受け取りを開始した者は社会からの引退者として保護され、医療費や介護保険等もこれまでと同様に優遇される。

逆に公的年金の受け取りを延期した者は選挙権がそのまま与えられる反面、政治に責任を持つ有権者として若い世代と変わらない社会負担が求められる。

公的年金を受け取るか否かは、政府が勝手に決めるのではなく、各自が自己の判断で選ぶのが合理的だ。「自分はまだまだ働ける。現役でいたい」というのであれば、公的年金の受給を延期して、選挙権を持つ市民のままでいればいい。

「もう引退したい」というのであれば、公的年金を受け取り医療保護などを受ける一方で、引退者として次の世代に政治的な判断を委ねる。

「潔い引退」こそが「高齢者はどう譲歩すべきか」に対する解であると、私は思う。

駒沢 丈治
雑誌記者(フリーランス)
Twitter@george_komazawa

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