農地の炭素循環を考える --- 松元 信嘉

アゴラ編集部

バイオマスの基本は炭素有機物である、植物が単純なスクロースなどの単糖類に光合成することで最初に生産され、タンパク質に再合成され樹木や農産物となる。
可食部は我々動物類に摂取され、糞尿や死体となった動植物遺体が、小動物、昆虫、微生物に取り込まれ、最終的にメタン、炭酸ガス、窒素ガス、無機化した肥料成分となり、再び植物に合成される。

農地の炭素循環と肥料の関わり、そしてバイオマスエネルギーの循環について、明らかにすることで、エネルギー問題についても考察していただきたい。

結論を先に述べると、農地に炭素物を還元することは、カスケード的利用を行わない限り、無駄なことである。


実際に畜産糞尿8,800万トン中の70%は、堆肥化されて土壌に還元されている。(堆肥化はカスケード的利用ではない)

また、水田から発生する、稲藁、籾殻の炭素率の70~100のセルロース類は、ほとんどが、直接、または間接(畜産糞尿に混ぜて堆肥になり)に水田などに還元さている。

水田に1haあたり、稲藁4.3トン、籾殻1.2トンが発生するが、400万haにすると、実に2,200万トンのセルロースが無駄に土壌に還元されている。

農業生産性をあげているオランダ農業の基本は、施設園芸であり、我が国の農業経営の中で、水田農家の専業経営は非常に珍しく弊社の顧客でも、平均的に20~90aの施設園芸に、4~8haの水田経営を行っている。

肥料の問題が収益性と収量を変えれることは後日述べたいが、その施設園芸の収益性を圧迫しているのが、ハウスの暖房費として使用される重油の高騰である。

十数年前の重油の価格は、40円程度であったが、本年はとうとう100円に迫る勢いとなり、来年度は明らかに100円での経営を余儀なくされるだろう。

反当の重油の使用量は、12,000リットル程度で昔は48万円で済んだ重油代が120万円になりつつあり、弊社顧客のキュウリ農家では、90aの経営費の1,000万円近くが重油代と消え、40円の頃からは、600万円の純減益になってしまっている。

6haの水田経営から回収できるバイオマスの量は30トンであり、重油換算で低く見積もって10,000リットルの重油に相当する熱量が回収できる、半径300メートルの圏内で回収できるため、回収時期と人件費の問題を解決できれば、この資産を有効に利用することは、農家の収益改善に大きく付与することとなる。

周辺半径2kmに100ha程度の水田がある場合、重油換算で180トンの未利用バイオマスが実在し、金額で1,800万円のお金が捨てられているのである。

回収に関わる人件費は、稲藁をロールベラーで回収するのに、機械を利用することで、一日で2ha程度は回収できるようで、多めに見積もって100万円で回収できるようだ。また籾殻は、ライスセンターや、乾燥機周辺に排出蓄積するため回収は容易である。

直近で開かれいる、再生可能エネルギー法案の買取価格では、未利用バイオマス発電の買取価格を30円/kw程度で要望しており、農家は、コージェネレーションのシステムを構築することにより、売電収益も可能となりそうで、180トンの単純な重油の発電量2kw/リットルでの発電量36万kwは、1,080万円の売電収益となる。この収益で稲藁の回収保管、設備投資、燃焼装置の運転費用とすることができる。

その回収や運転を近隣の人材で行うことで、地域の雇用を増やすことができ、近隣の森林、雑草も取り入れたり、燃料用作物も栽培することで、より多くの資源を利用でき、多くの雇用を生むことになり、グリーンジョブとエコロジーを両立できるエネルギー効率の良いシステムが確立できると思われる。

2,200万トンのセルロースは、水田ではメタンになり、炭酸ガスの21倍の温室効果ガスを発生させている。未利用バイオマスや水田からのメタン発生を抑えることは、メタンガス空中排出防止による温室効果ガス削減に付与でき、非常に多くのメリットがある。

次回は、農地に炭素有機物が必要でないことを肥料と農産物の生産性の側面から考察したい。

松元 信嘉
有限会社バイオマスジャパン 代表取締役