メコン流域5カ国に6千億円のODA供与と、ミャンマー円借款、25年ぶり再開

2012年04月22日 12:09

朝日新聞が、我が国インドシナ政策のターニングポイントとも言える二つの政策決定に就いて報じている。


先ず第一は、日本のODA、メコン流域5カ国に6千億円である。

日本と東南アジアのメコン川流域5カ国による日メコン首脳会議が21日午前、東京都内の迎賓館であり、共同文書「東京戦略2012」を採択した。来年度から3年間で約6千億円の途上国援助(ODA)を日本政府が行うなどの支援策が盛り込まれた。 日本が支援する対象事業の総額は2兆3千億円。高速道路や橋などの交通インフラ整備によって域内の「連結性」を高めて経済成長を後押しし、日本企業の進出を促すねらいがある。

この決定の意味する所は極めて大きい。今後の日本に依る、技術、資金協力により、先行するタイは別格として、メコン流域5カ国が中国に雁行する新興産業国のポジションを明確に手にした訳である。

一方、日本に取ってもメリットは大きい。

先月のアゴラ記事、ミャンマーへの出遅れは許されない!で説明した通り、「インドシナ東西回廊」を戦略的に押さえる事に依り、周辺諸国を含め3億人の市場を手に入れると共に、タイで成功し、ベトナムで成功の途上にある、日本のサプライチェーンへの組み込みを可能とする。

今後、日本人は下記地図と「インドシナ東西回廊」と言う言葉を目にする頻度が増える筈である。

東hantou

今一つは、対ミャンマー円借款、25年ぶり再開である。

両首脳が発表した共同文書は、円借款を含む政府の途上国援助(ODA)を(1)国民の生活向上への支援(2)人材育成(3)インフラ整備の3分野に拡大すると明記。日本政府は年内にも円借款の供与を再開し、本格的な支援に乗り出す。ヤンゴン近郊ティラワ港周辺の開発について、日本が基本計画をつくる覚書も交わした。

記事から推測するに、国民の生活向上や人材育成は単年度予算である、無償援助で賄い、ヤンゴン近郊ティラワ港周辺開発の如き一定期間と巨額の資金を要する大型案件は円借款で対応するのであろう。

ミャンマーは天然ガス等、地下資源に恵まれた国であると共に、人口が5千万人と、タイの6,600万人と比べても遜色がなく、日本等とは異なり若者中心である。人件費は年収2千ドルのベトナムと比べても遥かに安価との事なので、日本の人件費に比べれば殆どタダ同然である。

日本の技術、資金に依り、光ファイバー網(通信)、上下水道、豊富な天然ガスを利用した火力発電、これ等のインフラを基盤とする工業団地が整備される事になる。

世界最高水準の工業団地になるのではないか?

電力不足を危惧する日本の製造業が、安価な電力と労働力を求めて殺到する展開となるのではないのか?

日本政策投資銀行による、中小企業のアジア進出支援も、従来ボトルネックであった製造業の移転費用捻出を強力に支援する事になる。

関西電力対象地域の知事や市長が原発再稼働に反対している。

果たして、彼らは彼らが統治する地域と、ベトナムやミャンマーが日本の製造業の熾烈な取り合いを今後やる事になると言う事を理解しているのであろうか?

気が付けば、意欲と技術力のある製造業は挙ってベトナムやミャンマーに移転してしまい、やる気も技術もない企業は廃業で、結果、彼らの下に残るのは、「公務員」、「老人」、「生活保護受給者」のみとなる様な気がする。

別に、これを「破れ鍋に綴蓋」と揶揄する積りは毛頭ないが。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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