食糧危機と広がる飢餓

2012年08月03日 11:46

BBCが伝える所では、Sahel region of West Africa ‘in permanent food crisis’=恒久的な食糧危機にある西アフリカ、サヘル地区との事である。記事を読んで感じるのは、子供達が栄養失調で死んで行く、飽食の日本では現実感のない悲惨過ぎる光景である。

More than one million children are at risk of severe malnutrition in the Sahel region of West Africa, according to two leading charities.

代表的な二つの援助団体に依れば、西アフリカ、サヘル地区では百万人以上の子供が栄養失調の危機に晒されている。

They say the main reason is not drought or food deficit, but a lack of protection against shock price rises.

援助団体に依れば、栄養失調の主たる原因は旱魃や食料不足ではなく、食糧価格の急激な上昇に対する対策の不在である。

ロイターの、穀物取引の契約不履行が増加、世界的な穀物価格急騰でが示唆する所は大きい。

価格高騰から損失を危惧する売り手が、契約履行保証没収を覚悟で、エジプトやリビア向け小麦の供給契約を不履行にすると言うのである。供給が途絶えれば、こういった国での市場価格が暴騰し、貧しい庶民の家計を直撃するのは確実である。

昨年、ジャスミン革命と称され、西側諸国の支持を集めた抗議活動の背景には、こういった食糧価格の暴騰とこれに対する庶民の積年の鬱積があったのは事実である。

米国農務省穀物等需給報告を見る限り、今年はとてもでは無いが楽観出来ない。

昨年7月第1週末の期近価格比較で、小麦が5.85ドル/buが7.91ドル/bu、とうもろこしが6.41ドル/buが7.43ドル/buと、それぞれ値を上げている。

そして、その結果、日本の様な支払い能力に問題の無い市場では製品価格が応分に値上げされ、一方、契約不履行が予想されるエジプトやリビアの如き貧しい国では商品が品薄となり末端価格が暴騰するのであろう。結果、貧しい庶民には手の届かない価格となる。

一方、西アフリカの最貧国では、そもそも商品が入荷しないのではと推測する。これが、BBCが伝える飢餓と栄養失調の原因、背景である。

日本の子供達が、飢餓や栄養失調から守られているのは日本が「円」と言う強い通貨を所持し、決して契約不履行の様な扱いを受ける事が無いからである。そして、「円」の強さには経常収支の恒常的な黒字であったり、消費増税に依り債務問題解消に舵を切った事が大きく寄与している。

欧州諸国が嘗てアフリカの宗主国であったと言う歴史的経緯依り、欧州が先頭に立ってアフリカの貧困問題対策に当って来た。しかしながら、債務問題がここまで重篤化した今日、従来の様な訳には行かないであろう。日本に対する期待は日増しに膨らんでいると推測する。

一方、大変残念な話であるが、多くの日本国民は余りに短絡的な視点でしか物が見えていない様に思える。

消費増税に反対する人々は、かかる構造を理解出来ているのであろうか?

原発再稼働に反対する人達は、その結果、本来不要な化石燃料の輸入代金の急増に依り、経常収支の黒字が激減する事を理解しているのであろうか?

オスプレイ配備に反対する人は、日本の安全保障の在り方や、化石燃料や食料の輸入ルートであるシーレーン確保に就いて、どの様に考えているのであろうか?

背景や因果関係に就いて何も勉強せず、自分の頭で何も考えず、「反対」の為に「反対」しているとするならば、余りに無責任で破廉恥である。

世界が日本に期待するのは、内政がきちんと出来るのは当たり前で、西アフリカの様な最貧国に救いの手を差し伸べる事である。結果、日本が世界の尊敬を集め、日本の安全保障に間接的に寄与するのだと思う。

最近の政治家の発言、マスコミの報道に接するにつけ、こう言った本来あるべき「Principal」の不在が国民を大きくミスリードしていると思う。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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