ギャンブルは「社会のガン」か? --- 木曽 崇

2012年09月30日 10:40

えーっと、賭博業界の研究者たる私にとっては、目を引かざるを得ない非常に魅惑的な(?)タイトルの記事がblogosに掲載されておりまして、その記事を拝見して一人で勝手にカッチーンと来ているワケです。

グリーさん、モバゲーさん、「ゲーム」という言葉が「ギャンブル」や「麻薬」と同義語にならないように、是非ソーシャルゲームの明るい未来のビジョンを語って下さい。 -徳力基彦

この徳力さんという方、私は残念ながら存じ上げなかったのですがアジャイルメディア・ネットワーク社という会社の社長さんとしてIT業界界隈では有名な方のようでして、上記記事もひたすら射幸性を追求するゲームを開発し続けるグリーやモバゲーに対して「もっと違うゲーム業界の未来もあるのでは?」と警告をする非常にマトモな内容であります。ソーシャルゲームの持つ射幸性に関しては私自身も、むしろ射幸性を扱う専門の業界研究者の立場からこれまでも様々な発言をしてきておりまして、その論に全く異論はないワケですが、一方でその文章の中でこんな事を言われてしまえば、コチラの業界人としては黙っておくワケにも行かない、そういった状況であります。

[…]それにより昔から一般の大人(まぁ私自身ももはや立派な大人ですが)から印象の悪かった「ゲーム」という言葉がますます印象が悪くなり、もはやギャンブルや麻薬のような違法なモノとほぼ同等にテレビで取り扱われてしまっているというのは、残念としか言いようがありません。[…]

[…]私の好きな「ゲーム」が、「ギャンブル」や「麻薬」と同じように、テレビの解説者にソーシャルゲームは大問題だ、社会のガンだ、と知ったかぶりで眉をひそめられる社会にしないで下さい。日本を代表する産業の一つになるポテンシャルを持つソーシャルゲーム業界が、そんな裏社会扱いされるような未来は悲しすぎます。[…]

当然ではありますが、我が国には競馬、競艇、競輪、オート等々と多様な合法賭博が存在しておりまして、それを「違法」だの「裏社会」だのと表現されるのは「心外」以外のナニモノでもありません。もっといえば…

[…]今はあまりにその構造によりグリーやモバゲーが儲かりすぎてしまい、はまりすぎて大金を払ってしまう青少年とかが生まれてしまった結果、ソーシャルゲームの負の構造に完全に焦点があたってしまっているわけで。[…]

…と、ゲーム業界側を擁護している筆者が、なぜかギャンブル業界に対しては「社会のガン」だのと表現してしまうのは、あまりにもはご無体なお話。「ゲームそのものが悪いのではなく、はまりすぎて大金を払ってしまう負の構造が悪いのだ」と仰るのであれば、我々の業界においても全く同じ構造なワケでありまして、問題は「ゲーム」も「賭博」も、もっと言えば「お酒」も「買い物」も「ホストクラブ通い」も含めて、なぜ人間はモノゴトの「適当な度合い」を超えてハマッテしまうのか? すなわち「心の病」としての「依存」に焦点を当てなければ、この種の問題に真の解決はないワケです。

ましてやこの徳力基彦氏が代表を勤めるアジャイルメディア・ネットワーク社が、我が国で合法的に営まれる賭博事業たるスポーツ振興くじ(toto)のキャンペーンなども受け取っており、コチラの業界からお金を引っ張っているなどという事実を発見してしまえば【参照】、私としては「怒髪天を衝く」状態でありまして、一人オフィスで怒号を挙げるワケにもいかず、そっとPCを開いてブログ投稿をさせて頂いておる次第です。

木曽 崇
国際カジノ研究所 所長

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