朝日新聞の誤解しているアベノミクス

2013年01月08日 09:46

原発についての朝日新聞の記事はでたらめだが、経済記事もひどい。特にけさの1面に出ている「デフレ脱却、成長目指す〈アベノミクスってなに?〉」は、頭の悪い大学生が書いたような記事だ。

値段が下がれば、メーカーや販売店の売り上げや利益が減って業績が悪くなる。給料を減らされたり、リストラされたりして家庭も買い物を控えるようになり、さらにモノが売れなくなる。この悪循環がデフレスパイラルだ。


まず「値段が下がれば業績が悪くなる」のか。これは一つ一つの商品の値段(相対価格)と物価水準を混同しているが、デフレとは物価水準が下がることだ。商品の価格が1%下がっても、物価が1%下がれば、実質的な価値は変わらない。消費者にとっても、同じ給料で買えるものは増え、ユニクロのように安くなったものはたくさん売れる。デフレは消費者にとってはいいことなのだ。

次によくあるのが「デフレスパイラル」だ。前述のようにデフレで「業績が悪くなる」というのは間違いだから、それによって「給料を減らされる」ことも「買い控える」ことも起こらない。「スパイラル」が起こっているなら、デフレはどんどん拡大するはずだが、消費者物価上昇率はここ10年ぐらいゼロをやや下回る程度で安定している。

「みんなが『物価が上がる』と強く思えば、投資や消費を急ぎ、それに伴って物価も上がる」というのもよくある錯覚だ。物価が上がると思えば企業は値上げするので、実質的な売り上げは変わらない。予想されたインフレもデフレも、経済に中立なのだ。問題は短期的に予想できないデフレやインフレで何が起こるかである。

デフレが問題なのは、賃金や価格の硬直性によって調整が遅れるときだ。特にデフレで実質賃金が上がると企業収益を圧迫するので、インフレによって実質賃金を下げることが企業の利益になる。つまりインフレは実質的な賃下げなのだ。

だからアベノミクスは、労働者の賃金を下げ、公共事業で土建業に金をばらまく国家社会主義である。それは参院選のための選挙対策としては賢明だが、財政赤字を増やす以外の効果は何もない。こんな間違いだらけの記事が1面に堂々と出る朝日新聞経済部の知能程度は、どうなっているのだろうか。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑