景気の転換点で戦略を見直すべき業種業態とは --- 岡本 裕明

アゴラ

政権交代から明るさを取り戻しつつある日本経済ですが、よく見るとまだら模様で好況を呈している産業、やや陰りが出てきている産業などいろいろ見えてきます。今日はそのあたりをのぞいてみましょう。

まず、私が今後、厳しさを見せると思うのがスマホ関連の電子部品メーカー。直接的原因はアップルのiPhone5の売れ行きの鈍さによる部品メーカーへの発注量減の影響ですが、アップルはタブレットでも既にグーグルに抜かれたとの報道がありましたが仮にこれがアップルの一人負け状態と考えれば電子部品メーカーへの影響は限定的と見ることも出来ます。


しかし、携帯電話が新興市場にも普及し始めブームだった頃、メーカーでは考えられないぐらいの携帯電話の在庫を抱え込んでいました。モデルチェンジするたびに旧型をただ同然にて在庫処分していました。今のスマホブームは国境を越えた戦いとなり需給バランスの調整機能は働きにくく供給過剰への疑問はついて回ります。

日本の携帯の通信会社も今後、戦略変換が必要になるでしょう。LINEの利用者が1億人を超えたとのことですが、これは逆に言えば有料の通話を減らしているということですので携帯会社がインフラ提供会社に成り代わる可能性はあります。また、光ファイバーも厳しい戦いが予想できます。無線には勝てないとは思いますので今後、どういう作戦を取るかがポイントになると思います。

一方これから伸びる産業のひとつとしては教育関係ではないかと思います。教育といえば子供の教育と思われるでしょうが私が注目するのはアダルトエデュケーション。これは北米では極めて普通に行われており、かなり安いお金で高いレベルの教育を受けることが出来ます。日本では教育を受けるのは子供、という先入観がありましたが、私が社会人になってしばらくすると会社に行きながら大学院(夜学)に通いマスターをとることが一部で普及ました。更にその後、主要大学はかなり社会人教育に力を入れているとされてますが、問題は大学という敷居の高さであります。もっと街中で手軽に勉強でき、その授業料は税額控除できるような仕組みが出来れば相当伸びしろがあるように思えます。

日本の不動産も注目です。特に都市部では地価上昇が見えてきていますのでそうなれば心理的に買いが増え、不動産価格は上昇するでしょう。すると相続税率の上昇を踏まえ生前に不動産を処理し、節税対策をとるほうが得、といったことがFPあたりから指摘されるようなれば活況を呈するはずです。では東京の不動産をどうするか、といえば私なら緑豊かな戸建てができるようになってもらいたいと思います。窓を開けると隣の家の壁では先進国のライフではないのであります。ちなみに日本でマンションが流行る理由のひとつは日当たり。戸建ては南向きの家でない限り日が十分に入らないばかりか隣家を気にして一日中カーテン閉めっぱなしのお宅が大変多いということを指摘しておきます。

飲食については私はある変化を感じています。街中にはあふれるほどの居酒屋や飲食店。しかし、金曜日の夜といえども流行る店、がらがらの店とこちらもまだら模様。流行る店は客寄せにそれなりの努力をしている店か味に定評のある店。一方、駅前の商店街は昔の肉屋、魚屋、八百屋の景色から出来合いの惣菜屋、持ち帰り寿司店、から揚げ屋に弁当屋一色に変わったことに気がついた人は案外少ないのかもしれません。本来はお一人様用ディナーでしたが、見方を変えれば外で飲まずに家でつまみを買ってやる、という楽しみ方ももっと増えているということかもしれません。

少なくとも時代が変わり、世代が変わる中で流行り廃れも大きく変わってきたということだと思います。

そういえばマクドナルドも戦略転換を余儀なくさせられるような時代です。先の先を読み込む癖をつけなくてはいけないということでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年1月22日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。