中国発の大気汚染問題は解決に向かうのか?

2013年02月12日 10:45

昨日テレビニュースを見ていたら、中国の大気汚染の影響で九州と大阪の一部でPM2.5(粒径2.5μm以下の浮遊粒子状物質)が国の基準値を超えたと報じていた。


状況がこのまま酷くなる様であれば、元々気管系に疾患を抱える人に取っては一大事である。

マスコミは、本来問題の本質を抽出し、判り易すく国民に説明すべきなのである。しかしながら、勿論、そんな手間暇のかかる事はやらない。

ひたすら、不安と恐怖を煽り、人工的に「マス」を作り、「視聴率」や「新聞部数」の増加という御利益にあやかろうとするのみである。

私は何も環境問題の専門家ではない。しかしながら、マスコミに文句だけいっていても話はちっとも前に進まない。

それならば、自分の出来る範囲で何がしかのアウトプットをやってみようというのが今回、このテーマで記事を書く事にした経緯である。

先ず、大気汚染のA級戦犯といえば「石炭」という事になる。もっと判り易く言えば、大量の石炭を適切な排ガス処理を施さず燃焼させているのでは? との疑惑を解明すべしという話かも知れない。

ネットでこの仮説を実際に調べてみる。

何と!、中国の石炭消費量が世界の半分35億トンという事である。日本の消費量が2億トン弱であるから桁違いの多さである。

国家のGDPがほぼ拮抗しているので、中国のエネルギー効率の悪さとエネルギー源の石炭偏重が浮き彫りになっている。

次いで、この大量の石炭が一体どの様に使用されているか? である。

中国の2012年粗鋼生産量7億1700万トンと公表されている。

日本では1トン(1,000KG)の粗鋼生産に必要な石炭の量はは800KGとされている。従って中国鉄鋼産業が年間に消費する石炭の量は6億トンという推定値となる。

しかしながら、老朽化した製鉄設備を多数抱える中国であれば実際にはこれよりかなり高めの数字である可能性が高い。何れにしても中国の石炭消費量の20%程度は鉄鋼業により消費されているといって良いと思う。

従って、鉄鋼業が最新鋭の脱硫設備を各製鉄所毎に完備すれば、かなり問題解決に向かうはずである。しかしながら、事態はそう簡単ではない。

WSJが伝える所では、中国鉄鋼商社に債務不履行リスク との事である。鉄鋼不況真っ最中という事らしい。後先考えずに、バブルが続くと思い込み製鉄所を作り過ぎたに決まっている。

こういう経営状況であれば、コストがかかり、売り上げに貢献しない排ガス処理装置への設備投資など望むべくもない。

寧ろ、エネルギー効率の悪い製鉄所の閉鎖であったり、先行きの見えない製鉄業からの撤退で石炭消費の削減に中国が向かう事を期待すべきと思う。

又、一党独裁の利点を生かし中国共産党はそうすべきではないのか? 何のための一党独裁なのかと言いたい!

中国の石炭消費の残りは30億トン弱でその大部分は電力業界によって消費されていると推測される。

手元に資料がないので確たる事は言えないが、石炭1トン当たりの実際の発電量を日本の石炭火力と比較すれば驚く様な差になっているはずである。

従って、中国が急ぎ実行すべきは「エネルギー効率が悪い」、要は石炭を山の様に炊いて、結果、二酸化炭素や硫化化合物を大量発生させながら(大気中に放出し、結果大気汚染の元凶となる)ほんの少ししか、肝心の電力を産出しない発電所を廃棄し、効率の良い石炭火力に集約するという事になる。

そして、集約された発電所(石炭火力)には日本から輸入した最新鋭の脱硫設備を設置すべきである事はいうまでもない。

石炭に次ぐA級戦犯は無論石油である。

石油の精製がお粗末であれば、結果、自動車やトラックは走る毒ガス製造設備となってしまう。

大気汚染が深刻化、当局の政策対応に期待 を読む限り、流石に事ここに至っては、石油業界も自身が大気汚染のA級戦犯である事実を認めざるを得ない所まで追い込まれている様である。

中国の石油化学大手、中国石油化工集団(シノペック)の傅成玉董事長(代表取締役)は1月31日、全国的に続いている深刻なスモッグについて「石油精製企業には直接的な責任の一端がある」と認めた。

問題は何故石油精製の最終工程にきちんとした「脱硫工程」を組み込まないかに尽きる。

「脱硫工程」を調べてみたら、ヤフー知恵袋が判り易く説明してくれている

この説明を更に要約すれば、硫黄化合物を高価なニッケル、モリブデン系触媒を使い、高温高圧の環境下水素を添加する事で硫化水素(H2S)に分離するというものである。

言い換えれば、こういう一手間を惜しんでいるから北京を走る自動車やトラックが毒ガス製造設備になってしまったという事である。

従って、問題解決のためには石油精製の最終製品である「ガソリン」や「軽油」、「重油」の硫黄含有量を日本レベルまで引き下げるという結論になる。

石油製品価格は上昇するであろうが、「脱硫工程」を組み込硫黄含有量の少ない最終製品のみが市場に出回る様に中国政府は指導すべきである。

これは何も難しい事ではない。装置、設備を日本から輸入すれば済むだけの話ではないのか?

中国共産党もここまで来たら、自分たちがどれ程自国民の命を軽視しているのか?、日本など隣国の迷惑に無頓着なのか? 真摯に自問自答すべきである。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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