大きな政府の終焉

2013年02月17日 06:51

安倍内閣の支持率が支持率7割超えと、随分と大変な事になっている。


アルジェリアの人質事件や、中国海軍による海自護衛艦へのレーダー照射事件に落ち着いて対応出来たのが好感されているのは事実である。

これが、鳩山元首相や菅元首相であったらと思うと身の毛がよだつ。矢張り、民主党政権とは安定感が根本から違う。

しかしながら、もっと根本的なものが背景にあると思う。野党がどんなに美味しい話をした所で、国民は日本という国に最早金がない事を知ってしまったのである。

小沢一郎議員が幾ら「国民の生活が第一」と繰り返した所で、国民が耳を貸す事はない。小沢議員も結局は財源がないにも拘わらず美味しい話で国民を釣るだけの「ポピュリスト」と見透かされてしまった訳である。

国に金がないとしたら、野党の振り出す手形は所詮「不渡り手形」に過ぎず、相手するだけ時間の無駄という事である。露骨にいえば野党は不要、用済みという事だ。

その結果、安倍内閣の支持率は上昇を続け70%越えを達成したという理解で良いと思う。野党は淘汰され政界はコンパクトにスリム化されるはずである。

一方、政府に金がないというのに、羽振りの良かった昔と同じ様に「大きな政府」が必要であろうか?

そんな事はありえない話である。

中央であれ、地方であれ、行政はコンパクトにスリム化され、歳出を極限まで削減する必要がある。

具体的にはこういう事である。

一昨日のアゴラ記事、精神を病むに至った若者をどうやって救済するか?、で提案したマレーシア、ペナンでの救済施設を外務省が設営し、運営すると驚く程金がかかる。

先ず、運営のために必要と称し外郭団体を設立する。そして、理事長一人と理事や幹部を何人か天下りさす。理事以上では個室と秘書、それに専用の運転手つき自動車の経費と年収2千万円で、大体一人当たり一億円程かかるらしい。

現地大使館が救済施設を直接運営する事はあり得ないし、能力的に不可能である。民間業者に丸投げされる訳であるが、大使以下の経費は当然請求される。

業者は「天下り」の受け入れを条件に選定されるので当然高額となる。予算は、まるでブラックアフリカの食糧援助の如く中間で搾取され、実際に若者のために使われる金は全体の内の微々たるものという結果になる。

若者の救済は必要だが、こういう愚行は一刻も早く止めるべきといっているのである。税収が減り続けるこれからの時代は、実務能力が高く、こういう事業に意義と価値を感じる民間人がボランティアで携わるべきと思い、細々とではあるが企画を進めている訳である。

役所や役人を使う事はガソリン1リッターで100メーターしか走らない燃費の悪い自動車を利用している様なものである。ガソリンが安い時代であれば兎も角、現在では話にならない。

話は少し脱線するが、対中ODAの供与も随分と酷い話である。

1979年に開始され、外務省の公式見解は総額3兆円強の供与という事だが、実際には6兆円を超えているとの批判もある。

対中国へのODAは約3兆円と公表されていることがあるが、それは外務省関係の公的な援助額の数字であり、財務省など日本の他機関の援助額を総額すると、6兆円を上回る額となり批判がある。

30年で6兆円なら一年で2,000億円という計算になる。

これで日中の友好が深化しておれば何の問題もない。しかしながら、中国は日本に全く感謝していない所か、日本固有の領土である「尖閣」を力づくで取りに来ている。

6兆円の返礼に、日本国民に対し銃口を向けるというのは何という非礼であろうか? 中国も北朝鮮同様ならず者国家という事になる。

援助を継続した30年の間には何度も今日に至る予兆があったはずである。しかしながら、外務省は看過してしまった。

無理もない。毎年、2,000億円を貢いでいる方が大使以下、大使館職員は現地の仕事と生活が快適だからである。ここに、外務省が組織として機能せず「税」を無駄使いする根本原因がある様に思う。

尖閣を機会に一度立ち止まり、外務省が「外交」と称しているものが実は「朝貢」ではなかったのか? 検証する必要があると思う。安倍内閣には是非お願いしたい。

いうまでも無い事であるが、「朝貢」は「華夷秩序」、「冊封」の眼に見える結果である。「尖閣」に対する中国の対応の遠因になっている気がするのである。

昨日の北村隆司氏の「ニート化農業」の追放と正直者復権の起爆剤、TPP交渉参加が説明している日本の農業政策も今更ながらであるが酷過ぎる。

ガット・ウルグアイラウンドでも、「例外なき関税化」という国際統一ルールが決定された後も、米は勿論、小麦・大麦は 252%、砂糖 325%、こんにゃく芋1705%など超高率関税を掛け、日本ではパンや麺類などは税金を食べていると同じ状態が続いている。

食糧という国民生活に不可欠なものにあり得ない高率の税を掛け、徴収した税を一部の既得権者に還流している。関連する組織に多くの農水省OBが天下っている事を想像するのは容易である。

こんなもの、最早「税」とは言えない。やくざが、弱い立場の街の飲食店から巻き上げる「みかじめ料」と同じか、更に性質が悪いかも知れない。

上に参照した二件は何れも「大きな政府」の弊害である。そして、共通するのは担当する役人に罪の意識がない事である。

現在が、時代の変わり目である事を聡明な日本国民は理解している。

謂わば、恐竜が全盛を誇った時代が巨大隕石の落下に伴う気候変動、氷河期入りにより、コンパクトで小回りの利く哺乳類に取って替わられる、そんなイメージである。

民主党は「統治機構の改革」を主張し政権奪取に成功した。結果は衆目の通り何一つ成功しなかった。しかしながら、これは民主党が無能であったからで、決して「統治機構の改革」は避けて通れる話ではない。

これからも「税収」は減り続ける。一方、実質借金の次世代への付け回しである国債発行は絶対にこれ以上増やしてはいけない。

その為には、「大きな政府」から「小さな政府」に転換する事。

役所が高いコストをかけて行っている事業の多くを、「若く」、「有能で」、「高い志を持った」人材にボランティアベース委ねるしかないのではないか?

当然、「税」を食い物にする日本社会に寄生する寄生虫の徹底駆除も必要となる。

反対意見も当然多いと思う。反対は結構であるが、「財政規律回帰」への処方箋と実際に自分が何をやるのかは必ず明記して欲しい。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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