中国は何処に進むのか?

2013年03月01日 09:46

丁度一か月前にユーラシアグループの「2013年TOP 10 Risks」を題材として中国という厄介者をアゴラに投稿した。


今月5日から開かれる全国人民代表大会(全人代)で、胡錦濤氏から習近平氏への国家主席と国家軍事委員会主席のポストが委譲され、これと併行して国務院人事が明らかになり、経済政策、外交政策も具体的に示されると聞いている。

従って、この機会に私の予想が正しかったのかどうか一度検証してみたい。

一か月前の予想を要約すれば下記の様になる。

国民は天安門事件の時と同様、政府に対し政治の民主化を要求するに至る。中国政府に残された手段は天安門事件の時と同じ様に徹底的に国民を弾圧するのか、或いは民主化を受け入れるのかの二者択一である。

結論からいえば私の予想通り、或いは、私の予想を上回るスピードで進んでいるのではないか?

一昨日のBBC記事、China open letter calls for political reformsが実に興味深い。

中国を代表する、識者、論者、ジャーナリスト達が公開書簡で「政治の民主化」と「人権の保障」を訴えている。習近平新体制の喉元に突き付けられた刃といっても過言ではないだろう。

「政治の民主化」要求といえば、思い出されるのは二年前のアラブの春である。世界は我先にジャスミン革命を支持したのではないか? 

結果、「中国共産党」vs「全世界」の対立が先鋭化し中国が益々孤立する展開を予想する。

「人権」も中国共産党に取っては頭の痛い問題に違いない。

中国全土に点在する「癌の村」は、地域住民の「人権」よりも、公害を垂れ流す企業の利益や都合を優先した結果である。

更に問題を重篤化させているのは、住民の度重なる訴えを無視し、臭い物に蓋をし続けて来た背景に企業から役人への賄賂があるとされている事実である。

「癌の村」はシグナルであり、アラートの示すものは中国共産党一党独裁という根本問題という事になる。

確かに、今迄は中国の地域問題であったかも知れない。しかしながら、PM2.5が中国全国民の共有する問題となった以上、「癌の村」で起こった悲劇が自分達の確かな将来と中国国民が気付くのに大した時間はかからない。

大気の汚染(PM2.5)が中国共産党の腐敗に起因すると国民が理解し、怒りの矛先は当然そちらに向かう事となる。

運動の先鋭化が予想されるのは二億人とも三億人ともいわれる「農民工」と、中国全土に分布する「少数民族」である。

「農民工」が中国経済発展を牽引したのは事実である。子供の教育や社会保障といった肝心な部分で差別されながらも、過酷な労働条件に耐え、明日を夢見て頑張って来た訳である。

しかしながら、夢は実現しなかったばかりか輸出が先細り、内需拡大も打ち止めとなれば「農民工」は中国社会の厄介者、邪魔者に成らざるを得ない。実に惨い話ではないか?

彼らを搾取し、不正な蓄財と共に海外に逃亡する中国共産党の幹部に対し激しい憎悪を抱くはずである。

少数民族問題も中国共産党に取って頭の痛い話である。

チベットでは僧が抗議の焼身自殺を止めようとはしない。中国共産党にも言い分はあろうが、人の情として国際世論が死んでいくチベットの若い僧に同情するのは自然の成り行きである。

新疆ウイグル自治区で、抑圧されているイスラム教徒であるウイグル人に対し祖先を同じくするトルコが同情的である事は有名な話である。

仮に、国内の混乱により今後中国共産党のグリップが弱まり、新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の暴動⇒中国解放軍による軍事制圧(イスラム教徒の人権無視)といった展開を辿れば、中国は全世界のイスラム教徒を敵に回す事になる。

内モンゴル自治区も微妙である。表だって不穏な動きはない様だがモンゴル人が漢民族に服従を続けるというのは歴史的になかったのではないか? 

私が以前親しくしていた内モンゴル自治区から東大への留学生も中国には帰らないといっていたし、事実帰国せず日本で起業した。内モンゴル自治区からの留学生は皆そんな感じと言っていたが。。。

そういった事を漠然と考えていたら、 「犬と日本人は入るべからず!」を伝えるBBC Newsである。

日本は中国に対し、30年間で6兆円の援助を供与したとされている。

人間であれば、普通感謝し、恩に感じる訳であるが。。。「犬でも三日飼ったら主人の恩は忘れない」というのは確か中国の諺ではなかった? 誤解のない様に断っておくが、私は決して中国人が犬以下といっている訳ではない。

この話をBBC経由知った香港人はどう思うだろうか? 

勿論、最初は「嫌だな!」といった素朴な感情、嫌悪感であろう。次いで、自分は「香港人」であって「中国人」では決してない、の様な自己の「Identity」に係る再確認に至るのではないだろうか?

トルコ同様親日国家である台湾はどうだろうか?

矢張り、香港同様の反応だと思うが。

中国は「尖閣」で日本への挑発を止めようとはしない。

背景にあるのは、こういった根本問題や問題に対する中国国民の不満のマグマの向け先を人工的に作る必要があるからであろう。

しかしながら、中国国民もネットによって真実を知れば、「癌」を患っているのに水虫の薬を足の裏に塗っても意味ない事に気付くはずである。

近習平体制の船出が嵐の中で行われるのは確実である。ついては、新たに発表される経済政策、外交政策を注視すると共に、新体制が難破しない事を隣国の一国民として祈念したい。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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