TPP交渉参加と日本の農業問題

2013年03月06日 06:41

安倍政権はTPP交渉参加を来週表明との事である。素直に朗報と受け止めたい。


民主党政権の三年間では何も進まなかった話が、安倍政権に替わり一気に進んでいる。正に、「決められる政治」の面目躍如であり、圧倒的な内閣支持率がそれを可能にしている。

TPP交渉参加は、日米首脳会議の結果が、アジア・太平洋地域を日米が協力して平和と繁栄の海にするという話であり、当然の帰着点の一つである。

参照記事にても予言した通り、今後農業団体は反対するに決まっている。

最後は、何時もの事であるがマスコミの演出する本質からずれた大騒ぎである。

TPP参加に対し「経済界」は当然賛成する。一方、「農業関係」は反対するに決まっている。

マスコミはこれに便乗して、まるで国論を二分するが如き論調を展開するに違いない。

しかしながら、これは誤りである。大きな政府の終焉で説明した通り、農業に寄生する「既得権者」の駆除は今世紀の日本の繁栄を願えば待ったなしであり、これまで手つかずであった事が寧ろ問題なのである。

マスコミが何故大騒ぎするかといえば、新聞が発行部数を伸ばし、テレビが視聴率を取るためである。

農業団体が何故大騒ぎするかといえば、「掴み金」欲しさという事になる。爪を伸ばし少しでも「税」を鷲掴みにする。それ以上でも、以下でもない。

北村氏の「ニート化農業」の追放と正直者復権の起爆剤、TPP交渉参加が説明する様に、日本の農業問題の一丁目一番地は「米農家」に違いない。

世界の米(生産量、消費量、輸出量、輸入量、価格の推移)によれば、2011年ベース、為替が1ドル82.16円換算で10KG当りの米価は下記の通りと表示されている。

タイ米:431円

ベトナム米:386円

カリフォルニア米:690円

ちなみに、日本のスーパーで10KG入りの米は大体5,000円位と思う。タイ米、ベトナム米のざっと10倍以上という事になる。

そして、これを可能にしているのが輸入税778%という、実質の「輸入禁止」である。

それにしても、何故かかる惨状となってしまったのであろう?

どうすれば「正常化」するのであろう?

米作と同様、日本の古来からの産業である「機織り」を参照しながら検証してみたい。

私の頭の中の日本の「米農家」のイメージは 「西陣織」である。

狭い田圃を爺ちゃん、婆ちゃんが頑張ってコツコツ耕す。生産性は当然低いので米の単価は高くなる。

一方、ベトナム、タイの米が廉価なのは 最新鋭の自動織機、広大な工場、若い労働者のイメージである。

機織りが経済問題にならないのは、「西陣織」で作られた商品は極めて高額であり、一方自動織機で織られた布はニトリが千円以下で販売しているシーツの様な安価な製品に使われるからである。

要は「商品」の棲み分けが出来ているという事である。

こう考えれば、日本の米作農家は、「西陣織」の様なやり方で米という付加価値の低い商品を生産している事になる。これが、結果国民を搾取する事になる米の輸入関税778%の背景である。

私はTPP加盟を寧ろチャンスと捉え、安倍内閣には米の輸入関税を撤廃して欲しいと考えている。

結果、日本の米作農家の多くははタイ、ベトナムといった廉価な輸入米との競合に晒され廃業する事になる。

そして、農地は流動化し「高付加価値」な農産物の生産が可能な有能で意欲的な農業従事者に買い取られ、経営規模が大型化し更に競争力を付ける事になる。

この流れを加速させるためには、期間を限定して農地販売で得た利益は非課税にするなどの「税の優遇措置」は必要となるだろう。

財務省は反対するであろうが政治主導で乗り切るしかない。

農業に係る「既得権益」はまるで固い岩盤の様なもので今までびくともしなかった。TPPをきっかけにここに風穴を開ける事が出来れば、続いて待ったなしのその他の「構造改革」に着手出来る気がする。

安倍総理は名宰相として歴史に名を残すのか、或いは、お腹イタタタのひ弱な二世に過ぎないのかの分水嶺に立って居ると思う。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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