勝谷さんを下ろしちゃって“委員会” ?

新田 哲史

話題が一日遅れで恐縮です。
書く時間が無かったのでどうしようかと思ったが、勝谷誠彦さんが「日記」を有料制にして間もない2007年2月から定期購読してきたファンとしては、その名が昨日のヤフトピにアップされたとなると、やっぱりスルー出来なかったので書き置きたかった次第。


●東京で見られないのが残念な「委員会」
で、話題の番組は、噂に聞くほど興味津々な「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)。10年以上の老舗番組なのに「噂」と書くのは、私が東京在住なので、観たくても観られないからだ。勝谷さんの「日記」によると、首都圏でオンエアしないのは、たかじんさんのポリシーらしい。政治的遠慮とは距離を置き、東京発の番組では失われつつあるエッジの効いたクオリティーを維持したい意向なのだろう。

勝谷さんは、「TVタックル」(テレビ朝日系)や「スッキリ!!」(日本テレビ系)には出ているので今しばらくは(笑)テレビでお姿を拝見できそうだが、「委員会」の凄みは、東京の地上波では滅多にお目にかかれないオピニオンをスタジオに引っ張りだしているだけでもうかがえる。

公式サイトの過去ログを全部見るのが面倒なのでウィキを見たところ、天木直人氏、田母神俊雄氏、勝谷さんの「師匠」花田紀凱氏……そうそう、アゴラでいえば池田先生もそうだ。舌鋒が鋭すぎて東京のテレビ局の人が震えあがってしまう人たちばかりだ(笑)。しかしガチンコの討論をみたいのが視聴者の本音。日曜の真っ昼間のオンエアでありながら、2ケタの視聴率をキープし続けている。どんなカオスを引き起こしているのか?ハラハラ……いやワクワク想像をかき立てられる。最近では現職首相の安倍さんまで呼んじゃったし(汗)東京発の討論系番組では、「朝まで生テレビ」(テレビ朝日系)で、田原さんがたまに「えっ?よく地上波に出せたね?(驚)」という人を連れてくるけど、他の番組を含めて“危険人物”が減ってきたのは気のせいだろうか。

●ちなみに本人に会ってみると面白かった
ところで勝谷さんには一度お目にかかったことがある。私が新聞記者だった4年前の5月だ。運動部でプロ野球と兼任してボクシング担当だった私は、当時の世界王者だった内藤大助選手の国民的人気の理由を探る記事を書くことになり、多忙なスケジュールの合間に無理をお願いしてインタビューを受けていただいた。スポーツ面ではなく、社会面への出稿だったのでボクシング関係者の談話だけでなく、社会的視点からも内藤人気を分析する意見が欲しかったのだ。「日記」を長年購読していたこともあるが、ボクシングに詳しく、かつ世相を語れる人として真っ先に思い浮かんだ。

期待にたがえず、勝谷さんは内藤選手を「時代の申し子」と評し、「強さと優しさを備えた武士のよう。人々が失われた理想の日本人像を見ているからでは」と指摘いただいた。当時は、リーマンショック後の不景気で格差問題が深刻化し、社会がどこかギスギスしていたように感じていたので、説得力があると感じたものだ。ちなみに当時は秘密にされていたボクシングの練習もちょっと見せていただくサービス付きでした。

●ネットに負けないガチンコ文化を
勝谷さんを巡っては、2009年の総選挙時に民主党政権誕生を支持したことへの批判が付きまとうのは重々承知している。TPPに反対するご意見は、消極的支持派の私の考え方ともちょっと異なる。ただ、小沢一郎氏とは、自党の政治家ですらその消息をつかめずにいる間にも一緒にお酒を飲んじゃったり、最近では現職首相の安倍さんにオーランチオキトリウムに関する国会答弁で「勝谷さんからも聞いております」と言わしめてしまったりと話題をふりまいてきた。今回の降板劇の真相は不明な部分が残るが、キーパーソンを大手メディアとは違う視点で論評できる立ち位置におられるだけに、純粋にコンテンツとして勿体ない気もするけどね。

インターネットの動画番組の討論でガンガンやり合う文化に若い世代がどんどんなじんでいる中、テレビ文化で育ってきた身としては、コラムニストとして政治から風俗まで鋭い視点で、タブーなく大胆に物を語れる勝谷さんのような存在が、“放し飼い”にされる余裕がまだあってほしいと思います。

新田 哲史
Q branch
代表 メディアストラテジスト
※ツイッター2年ぶりに再開しました⇒@tetsunitta