政治家の役割、考えるのは「いつやるか? 今でしょ」 --- 西村 健

アゴラ

政治家の役割とは何か。昨年12月投開票の衆議院選挙では、各党がマニフェスト・公約を掲げ、その主張を戦わせたが、その中に答えはのっていなかった。一般的には「国民の代理として法律を決める人」「政策を決める人」などと定義されている。しかし、個々人の認識によって政治家の役割は様々であり、厳密な定義がない。


そもそもいったい政治家の役割とは何なのか。それを今問わないわけにはいかない。民主党政権の「政治主導」に多くの有権者がかって期待し、それが失敗したからこそ、その議論をすべき時ではないか。今回の選挙でも、マニフェストや政権公約においても、政治家の役割についてはあまり明確には語られなかった。

選挙期間中、日本維新の会の橋下徹氏が選挙期間中「政治家は方向性をつけること」と主張した。それに対して、メディアから「政治家は工程表を作って提示すべき」という意見が出た。

とても面白い議論として私は見た。この両者のそれぞれにそれぞれの理がある。方向性がなければ工程表も作れないし、工程表がなければ方向性など机上の空論になる。それぞれが密接な関係があり、相互に切り離せない関係にある。

私は、方向性を決定し、その方向性を所属部署に徹底させること、それを具体的な活動レベルに落とし込み、「工程表」を作成し、実行する一連のプロセスが政治家や政治家をリーダーとする組織のメンバーの役割だと考える。つまり、協働の役割である。
その中で政治家の役割、特に閣僚や政務官に求められる役割とは以下のことではないかと考える。

  1. 全体の方向性を決める
  2. 政策間に優先順位をつけ、資源(人・もの・金)を配分する
  3. それぞれの政策ごとに、実行方針や目標・期限を明確化する
  4. 府省の政策目標に確実に落としこむ
  5. 途中の進行管理
  6. 当初の目標に対して責任を取ること

こうした役割が果たすこと、果たせることが「政治責任」と言われるべきことであろう。

日本経済が落ち込み、「失われた20年」を迎えた現在、自分の関心領域や利害領域など、特定の事案や利害関係者への誘導にしか興味のない政治家は必要ない。今こそ、首相・閣僚・与党政治家・野党政治家……それぞれの役割は何か、責任は何か、そもそもの議論をしていくときが来たのではないか。

それは私たち一人ひとり、国民が進めていくことだと思う。政治家の役割があいまいなままだと、結局、政治家の評価や責任をとえないまま、なんとなく評価印象や意見を言い合って終わってしまう。それでは何も変わらない。期待と失望を揺れ動くだけの政治社会を変える一歩を踏み出す時が来た。

西村 健
日本公共利益研究所(NPO申請中)