ファーストリテイリング中間決算が示す時代の変化

2013年04月12日 14:43

ユニクロの親会社ファーストリテイリングが昨日中間決算を発表した。


売り上げ、利益共に中期では過去最高との事である。

国内市場でのアパレル業界の規模が10兆円程度であり、既に1兆円規模の同社が20%弱の増収を達成するというのは生半可な話ではない。

この資料によれば、業界4位がオンワードHD(2,486億円)、5位が青山商事(1,946億円)との事であるから、ファーストリテイリングは海外での売り上げを含むものの、毎年この程度の企業を新たに誕生させている事になる。

矢張り、売り上げの6割を占めるユニクロの快進撃が大きく寄与しているのであろう

ついては、ユニクロ⇒高い離職率&サービス残業⇒ブラック企業の如き固定観念に捉われる事なく、これから世に出る若者は「ユニクロの快進撃」が意味する本質を理解せねばならないと思う。

先ず第一に理解すべきは、マスコミがどれ程執拗にユニクロを叩こうが、或いは、ネットが「ユニクロ」イコール「ブラック企業」で盛り上がろうが、消費者は高品質であるにも拘わらず廉価なユニクロ商品を以前にも増して支持しているという事実である。

当然、安さの背景には社員に取っては苦痛かも知れない徹底的に合理化されたオペレーションや、社員を極限まで酷使する企業風土があるのだろう。

第二は、市場はゼロサムゲームであり、ユニクロは競合他社から顧客を奪って成長を続けているといる冷徹且つ過酷な現実である。優勝劣敗といっても良いだろう。

仮にアパレル業界を志望し、ユニクロ程労働条件が厳しくない意中の企業に就職する事が出来たとしても、数年後ユニクロとの競合に敗北し勤め先が破綻するというのは、大いにあり得る話である。

その際、勝ち組のユニクロに転職出来れば良いのだが、ユニクロから見てぬるま湯ともいえる職場環境にどっぷり浸かってしまった人間を中途採用するとはとても思えない。

或いは、競合企業が本気で破綻を回避しようとするならばユニクロ並みの人事施策が必要となる。

こんな事は別にユニクロが望んでいる訳ではないのだが、商品を日本国内に広めれば広める程、ユニクロ流の人事施策も広まって行く事になる。

第三は、ユニクロの様なやり方ではなく成功している業界があるのでは?との疑問である。当然の事だと思う。しかしながら、残念だが思い浮かばない。

家電業界は真逆の例として実に判り易い。Panasonicの「追い出し部屋」、そしてSONYの「キャリアデザイン室」は余りに悲惨で悲し過ぎる。

民間は厳しい。なら公務員になれば良いと考える若者も多いかも知れない。成程、公務員という「身分」がこれからも守られるのであれば正しい選択であろう。

しかしながら、少なくとも公務員の圧倒的な人数を占める地方公務員に限れば、今後は細くて棘の道に違いない。

今朝のブロゴス記事を参照する。

宇佐美:独立してから携わっている仕事の関係で、地方に行く機会が増えているのですが、「地方自治制度は事実上、破綻しているな」と感じています。ほとんどの地方自治体は自主財源では全然予算が足りず、国から配分される地方交付税交付金無しでは運営不可能になっている。その依存度が高ければ高いほど、国に対して面と向かってものが言えなくなってしまいます。全然「自治」になってないですよね。

都道府県の財政力指数や、市町村の実質公債費比率を見る限り、多くが既に実質死に体である。

近い将来、「組織の整理統合」や「公務員の賃下げ」或いは「公務員のリストラ」は避けられない。地方公務員を10年経験した人間を民間企業が採用するとはとても思えない。その時はどうするのであろう?

最後は、増収増益であるものの顧客単価は2.5%の減少という点である。

全体の6割を占める国内ユニクロ事業の売上高は、前年同期比6・2%増の3872億円。冬物のヒートテックやウルトラライトダウンがよく売れた。在庫処分の値引き販売も進めた結果、既存店で客1人あたりの購入額は同2・5%減ったが、客数が同6・3%増えた。

目玉商品であるヒートテックやウルトラライトダウンで顧客を来店させ、幅広い品揃えと低価格で本来買う予定でなかった商品まで購入に至らせたという事であろう。

それにしても、矢張り顧客単価が下がっているというのは、「アベノミクス」で株価や不動産は上昇しているが実体経済は相変わらずデフレ基調を継続しているという事を暗示しているのではないのか?

話は脱線するが、吉野家が看板メニューの牛丼を今月従来の@380円から@280円に一気に値下げする。実体経済の最前線で仕事をする同社としては当然の決定なのであろう。

今後実態経済は相変わらずデフレ基調を継続すると推測する。従って、ユニクロや吉野家の様な筋肉質の企業は商品単価を下げ、来店客数の拡大を志向する。

一方、「異次元の金融緩和」の恩恵を受ける事になる「金融」、「不動産」といったセクターは、多分短期間で終わるだろうがバブルに舞い上がる事になる。

余りの羽振りの良さに引かれ、そういった企業を訪問し内定を貰ったは良いが、バブルが弾けて内定取り消しとか、新入社員で既にリストラ候補とか、悲惨な事になるに決まっている。

繰り返しとなるが、これから世に出ようとする若者は「ファーストリテイリング中間決算が示す時代の変化」の中身を自分の頭で考え、将来に備えるべきであろう。

山口 巌

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