TPP交渉参加に際し若者が考えるべき事

2013年04月25日 12:38

安倍政権は(TPP)交渉への参加を決定した。お約束として農業団体は前回のウルグアイラウンド同様掴み金欲しさに騒ぎ、マスコミはこれに便乗して大騒ぎを演出する事であろう。


しかしながら最早日本の農業は瀕死の状態である。寧ろ、TPPを切っ掛けにした農政改革は待ったなしと理解すべであろう。日本の財政がこれ以上の農業へのバラマキを許さない。

人口減少と高齢化で国内市場が縮小し続けるだけではなく、高齢者を扶養するための社会保障費が膨張する日本としては、貿易と投資を梃に持続的成長達成に懸けるしかないのが実情である。

TPPといえば「農業」の反対ばかりがクローズアップされるが、実際は貿易、投資、知的財産権、労働や環境など新しいルール作りの「場」である。

そう考えれば、今回のユニクロ、「世界同一賃金」導入の衝撃!は来たるべきTPP時代を先取りした、稀代の経営者であるユニクロ柳井会長の提言と理解して良いのではないか?

ネットには相変わらずこれに対しての批判記事が多い。柳井会長の提唱する「グローバル・スタンダード」を批判するのは良いが著者の学歴、職務履歴に海外留学、海外勤務の経験が皆無である。

正直、「グローバル」の真逆の人生を歩んで来た人が、何時までもこういう的外れな批判を繰り返し、同様、海外留学、海外勤務の経験を持たない純粋「ガラパゴス・日本人」が拍手喝采を繰り返すというのも時間の無駄としか思えない。

ユニクロ問題の本質とは、資本家と労働者間の利益配分の割合に過ぎない。労働者への分配を厚くすべきと考えるなら厚労省による取り締まりを強化し、サービス残業を根絶すれば事足りる話である。

こういう具合に規制を強化すればユニクロはさっさとミッドタウンの本社を引き払い、シンガポール辺りに移転するのではないか?

そして、そうでなくても不必要で意味不明な規制を嫌気している企業は多い。ユニクロに雁行して元気の良い企業の海外移転が加速するのではないか?

結果、法人税や所得税による税収が目減りし、日本の財政破綻が早まる事になる。直接打撃を受けるのは、先ずは、年金・生活保護受給者という事になる。

従って、厚労省がユニクロへの規制を強化する事は決してなく、TPP交渉の進展と併行して、今後同社に追随する企業が激増するというのが私の予測である。

それでは、「TPP交渉参加に際し若者が考えるべき事」とは一体何であろうか?

当面ユニクロの様に一気にグローバル化を目指す企業と、そうではなく、ガラパゴス企業に留まる所が斑模様で混在する事になる。

ついては、世界中から採用された若者と競合し、勝ち抜く事で競争力を付けようと思う若者はユニクロや同社に雁行しグローバル化の道を進む企業を選択すべきである。

一方、当面日本人を優遇してくれるガラパゴス企業が好ましいと考える若者は、そういう選択をすべきだ。尤も、こういうガラパゴス企業の破綻は早いと思うが。。。

ここで考えねばならない問題とは、大学の機能不全による大学卒業生の能力不足が原因で、グローバル企業に就職した若者の多くが、結果、野垂れ死にしてしまうのでは?との危惧が払拭されない点である。

それでは、日本の大学教育の問題とは一体何だろうか?

ずばり、日本の大学生のおよそ80%が在籍している私立大学の教育の質にあるのではないか?

私立大学が国立大学と違うのは収入源を、生徒が支払う受験料、入学金、授業料に依存している点である。

それでは、これにより一体どういう現象が起きているのだろうか?

卒業生の質を一定水準以上に保とうとしても、授業料欲しさで成績によって学生を退学させることが出来ない。

また、人件費抑制のために大人数での講義形式の授業が多くなる。

受講生が多ければ、質疑応答(双方向)が難しく、結果、教員の教科書や手垢の付いた講義用ノートの朗読で終わってしまうのではないのか?

こんな授業に魅力がある訳ないから、学生が出席しなかったり真面目に受講しないのは当然である。

いうまでもない事であるが、資本主義社会の中核をなす私企業は世に送り出す「商品」や「サービス」の「質」と「価格」で勝負している。

そして、これが競合企業のそれに劣後すれば顧客は離れ、先ずは減収、減益となり遂には破綻に至る。

それに比べ、私立大学の場合は成績の悪い学生であっても退学させずきちんと授業料を納入すれば、お約束として「卒業」させてしまう。

大学関係者の辞書に「品質管理」という言葉はないのであろう。

一方、利益の積み増を考えるのであれば講義の質を落とすのが手っ取り早い。大部屋に学生を詰め込んで「日雇い労働者」ならぬ「日雇い教師」に講義を委託するのである。

早稲田大学文学部の非常勤講師割合が51%には驚いた。

率直にいって、二十歳前後という人生で一番大事な時期にこういう鍛え方しかされなかった若者が、優勝劣敗の市場で生き残らねばならない企業で使い物になるとはとても思えない。

離職率が高いのも当然の結果ではないのか?

私立大学関係者が離職率の高い企業を「ブラック企業」と一方的に誹謗中傷するのは簡単だが、自らを省みて反省すべき点はないのか?

大学が世に送り出すのは大学から見れば「卒業生」かも知れないが、視点を変えて労働市場から見れば労働力という立派な「商品」である。

商品価値がない事によって生じる不都合を、一方的に買い手に押し付けるというのは本来資本主義社会においてはあり得ない話と思うが。

こういう私の考え方は、大多数のこれから世に出ようとする若者に取って不愉快なものに違いない。

そして、別に無視しても一向に構わない。しかしながら、将来野垂れ死にしたくなければ、来るべきTPP時代をどうやって生き残るのか?を自分の頭でしっかり考えるべきと思う。

山口 巌

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