辻先生の労働力ダンピングは社会を豊かにするのか?を拝読。
私はユニクロの様な元気な会社、つまりは急成長を続け、新規雇用を創出し、納税する法人税の額を毎年更新する様な所は、規制でがんじがらめにして委縮させない方が国益に叶うと思っている。
しかしながら、多くの国民がサービス残業や長時間労働の実態に眉を顰め、高過ぎる離職率や鬱病発生率を看過出来ないと捉えている事も当然であると考えている。
ついては、安倍内閣は一度、職場環境がブラックと噂されている業界のサービス残業、長時間労働の実態を徹底調査してはどうだろうか?
職場や業界の色んな矛盾が焙りだされる事になるはずである。
先ず行うべきは労働問題を担当する厚労省である。
20代、30代のキャリアー官僚の勤務実態には当然の事ながら興味がある。長時間のサービス残業やこの背景となる長時間労働があれば、話にならない。
交通違反を取り締まる白バイ警官が飲酒運転を恒常的にやっている様な話ではないのか?
次いで、我々国民に対し本来規範を垂れるべき各省庁のキャリア官僚の勤務実態も是非調べるべきである。
「ブラック企業」叩きの滑稽で説明した、下記の様な事はないと断言出来るのであろうか?
現在国会会期中なので国会答弁を作成する担当は野党の質問書が提出されるまで待機せねばならない。
性質の悪い野党議員の中には、役所を困らす為にわざと夜中の12時頃に提出する者もいると聞いている。こんな時間に質問書を貰えば当然徹夜仕事になる。
朝の5時に仕上げ、省内の仮眠所で4時間寝た後、他省庁との調整、上司への説明、国会待機、および手持ちのルーティンワークで夜まで忙殺が日常ではないだろうか?
残業時間は凄い事になっているはずであるが、本来管理監督すべき厚労省のキャリア官僚だけに「勤務は週40時間」という、美しいストーリーに仕上げられている気がする。当然、サービス残業という事になる。
ポップカルチャー政策は必要なのか? と、またもや中村伊知哉氏が問いかけておられる。
コンテンツを通して海外に対しクールジャパンを訴求したいという事なのだが、これを実際に製作するテレビ業界やゲーム業界の労働条件の悪さは半端ではない。
テレビ番組は実際には、下請け、孫請けで制作されている。そして、番組制作会社の労働条件は悲惨というのは、ずっと以前からの業界の常識である。
薄給の上、仕事がきつ過ぎるし、将来への展望が全くといって良い程開けない。結果、多くの有望な若者が道半ばで辞めて行く。当然、番組は日に日につまらなくなり視聴率は下がる。
番組制作会社のADに取っては、ユニクロの職場が天国に見えるというジョークは笑えない。
一方、ソーシャルゲーム会社の労働条件も同様劣悪と聞いている。
昨日、大手IT企業の中堅幹部と会食したが、終電で帰宅出来れば良い方で徹夜も結構多いらしい。結果、体を壊して退職したり、鬱を患うケースが増えているとの話であった。
これが仮に本当であれば、ポップカルチャー政策以前に番組制作会社やソーシャルゲーム会社の労働条件を改善するのが先決という事になる。
これらは勿論氷山の一角に過ぎない。しかしながら、脚下照顧という言葉がある。政治の関与、関係の大きい所から先ず徹底調査すべきである。
山口 巌