シリア問題をどう解決するか

アゴラ編集部

シリア情勢が依然として混迷しています。アサド大統領ら政府側と自由シリア軍なる反政府側の戦闘が収まらず、どんどん激化。難民も数10万人の規模。昨日はトルコ南部で爆弾テロが起き、シリア問題の五輪開催都市選考への影響も少なくありません。また、シリア国内では、サリンとも言われている化学兵器の使用が取り沙汰され、政府側と反政府側のどっちが使ったのか、が問題になっています。イスラエルはもちろん、米国や英国、フランスなど欧米諸国は、アサド大統領への批判を強め、制裁措置として軍事行動へ動こうとしているんだが、ロシアや中国がその動きを牽制してきました。また、アサド政権支援にはレバノンのヒズボラやイランが動いています。
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そんな中、米国とロシアが主導し、アサド後について今月中にも国際会議を開く、というニュースが入ってきました。「スロウ忍ブログ」では、米ロ協調による問題解決に希望を見出しています。しかし、こっちの「中東の窓」に書かれているように、自由シリア軍ら反政府軍はアサド側を圧倒できるような米国の支援を求めているようで、国際会議が開かれても成果を出せるかどうかは限りなく絶望的なようです。ただ、ヒズボラなどの周辺イスラム勢力がアサド政権をあからさまに助け始め、押され気味の反政府側のまとまりがなくなってきている、という話もあり、かつまた反政府側ではアルカイダ系の原理主義者たちが主導権を握り始めているらしい。米ロの動きが緩慢な場合、時間切れで反政府側のほうが四分五裂になってしまい、アサド時代に逆戻りしてしまうかもしれません。

一方、これは「Will Russia Provide S-300 Air-Defenses to Syria?」とする「THE DIPLOMAT」の記事です。先日、イスラエル空軍が二度ばかりシリアへの空爆をしたんだが、アレの目的もリビアから流入した防空システムへの攻撃だったらしい。シリアがロシアとの契約で9億ドルで「S-300」なるミサイル防空システムを導入の可能性について書いている。しかし、これを読んでも、大国がシリアの内戦に武器を供給してる、ということがよくわかります。

このシステムは、米国のパトリオットと同じように同時多目標の交戦能力を持つ長距離地対空ミサイルシステムらしい。リビアのカダフィ政権が引っくり返された大きな原因が、飛行禁止空域の設定です。国連による実質的な他国への空爆認可で、これによってリビア空軍が壊滅、制空権がない地上部隊が各個撃破されてしまった。今のところロシアは「S-300」を提供しない、と名言しています。しかし、シリアがもしこれを持つと、仮に欧米諸国やイスラエルが制裁を加えようとしても空からの攻撃で被害が出る可能性が高くなる、というわけです。

表題のブログでは、イスラエルがヒズボラの言動に過敏に反応すれば、2006年のレバノン侵攻のようなことが起きるかもしれない、と書いています。レバノンという国は、長くシリアの支援を受け、シリアとの関係が非常に深い。ただ、レバノンには親シリア派もいれば反シリア派もいて、ここも内部分裂状態。イスラエルと国境を接する南部は過激派のヒズボラの支配地であり、前回のイスラエルによるレバノン侵攻は最初、ヒズボラのほうから仕掛けました。しかし、レバノン国内へイスラエル軍が引きずり込まれた結果、国連軍などへ誤射で被害が広がるなどし、レバノンは激しい戦闘に巻き込まれた。今でもイスラエルとヒズボラは一時的に停戦中ながら、不倶戴天の敵、というわけです。

このように、シリア情勢にはイスラエルやレバノン、イラン、トルコ、ヒズボラなど各イスラム勢力が絡み、そこへ欧米やロシア、中国が加わって混乱に拍車をかけている。いわゆる「アラブの春」の余波を受け、独裁的非人道的なアサド政権への批判から始まったシリア内戦なんだが、ヒモ付き外部から政権打倒の武力支援を受けていると言われる反政府側に果たして大義があるかどうか疑問、という声もあります。米ロ中など大国の思惑や利権が錯綜し、結局、迷惑をこうむるのはシリア国民、というわけ。中東の危険な火ダネ、シリア問題の解決はまだまだ先のようです。
北の国から猫と二人で想う事
レバノン侵攻はまた起きるのか?レバノン
※画像は「syrian-embassy.jp」より。現在、在シリア日本国大使館はヨルダン大使館に移転中。


ソニー社外取締役にマクドナルド原田泳幸CEO、MITメディアラボ伊藤穰一所長
ネタフル
あ~なるほどぉ、こういう流れがあったから、原田氏、もうマクドナルドには情熱を注げなくなってたんですね、わかります。伊藤氏のほうは、いったい何者なのか何をしてきた人なのか、イマイチわからない人物ではあります。しかし、こういう人事で本当に大丈夫なのか、ソニー。平井体制の梃子入れ、というわけなんだろうが、巻き返しに期待したいところです。

集合知とは何か – ネット時代の「知」のゆくえ
情報考学 Passion For The Future
集合知といっても、ようするに平凡な凡人が何百何千いたってダメ、ということですね。今のネット社会というのは、平凡な凡人を量産するシステムだからこそ、良質な推測モデルや多様性が求められてもいる。だから、このブログでは「ほどほどの不透明性や自分の頭で考える時間が大切」と書いています。あと、リーダーが信頼され、信用される「偉い」存在、というのは当然のような気がする。ネット選挙に関係する話かも、という部分も要注意です。

速めに服を選ばせる3Dボディスキャナー
j-tokkyo
頻繁に服を買ってる人は自分のサイズ、よくわかってると思います。しかし、あまり服屋へ行かない場合、店員に自分のサイズを聴いたりしなきゃなりません。試着、というのがまた面倒で、何度も着たり脱いだりしてるともう大変。このサービス、10秒で自分のボディサイズを計測、そこから洋服のリストが出てきてモニター上から選べるらしい。この「me-ality」ってところの技術です。以前は「MyBestFit」という名前でした。こっちの「Intellifit」っちゅうのとは違うのかな。いろいろ似たようなのがありそうです。

ペットボトルを直飲みしたら? 実験開始7日目結果編。
サイキンのオハナシ
ずっと肌寒かったりで体調を崩しそうな人も多いと思います。ようやく暑くなってきてホッとしたのもつかの間、今度は食品衛生に気をつけなきゃいけません。このブログは、微生物を扱ってる人が書いています。水、麦茶、緑茶、オレンジジュース、コーヒーをシャーレに入れて常温で放置。菌類がどれだけ増えていくか時系列で調べてくれています。これによれば、水と緑茶がまだ安全そうですな。でも、フタを開けたらなるべく短時間で飲んじゃいましょう。

German court rejects bias claim in neo-Nazi trial
Star-Telegram
ドイツ東部で起きたトルコ人などの移民や警官に対する殺人事件や銀行強盗がネオナチによるものだった、ということでドイツが揺れています。警察や捜査当局、司法がネオナチに寛容、もしくは協力的だった、ということもわかってきたようです。ほとんどの犯人は自殺したりしてしまったんだが、これは残った女性被告人に対する裁判でもナチズムへのバイアスが生じないような裁判官を選ぼう、とドイツ司法が試みている、と書いている記事。ネオナチなんて映画の中の世界だろ、と思っていたら、日本でもにわかにヘイトスピーチという人種偏見問題がクローズアップされてきました。グローバル化が進んで世界的に人心が荒れているようです。

ソフトバンクの勢いが止まらないっ!
和洋風KAI
本当にそうなら「メデタイ話」です。docomoも旧弊な感じがして、どうも時代に取り残されてる感が強く漂ってきました。電話なんだもん、つながらなきゃ始まりません。しかし、携帯キャリア業界も激変の予感っすか。SoftBankにしても、このまま電話屋だけじゃ終わらないんでしょう。例によって何かビックリするような大仕掛けを考えてるような気がします。

匿名だけど個人を特定される!?ツイッターの投稿から始まる忍び寄る黒い影…
ACTZERO
みなさん、不用心にSNS上に個人情報を書き込み過ぎだと思うんですよ。このブログで書かれているように、周辺の情報を集めたりたどっていったりすれば、個人の特定はかなりの精度でできます。友だちの友だちの友だち、くらいに広げていろんな情報を得られるわけなので、自分が特定されないように気を配っていても無駄というもの。特定したい側の人間は、間に数人でも挟まれば、まったく身も知らない相手かもしれません。怖いですね。

iOS用Gmailを使って手書きメールを送るのもありかも
W&R : Jazzと読書の日々
これは何やらおもしろそうです。確かに手書きでメールできれば、あの打ち間違えやすいキーボードに頼らなくても短文なら大丈夫そうだ。DraftPadは今ひとつ使い勝手が悪そうなんだが、いろんなアプリと連動できるのがいいですね。

無料で誰でも簡単に画像から背景を消し去ることができる「ClippingMagic」
Gigazine
これは確かに便利です。「ClippingMagic」なる無料サービス。ほぼ、ちゃんと切り抜いてくれます。画像サイズが大きい場合、少し時間がかかったり、オリジナルを取り込めなかったりするようなんだが、こんなに簡単にできちゃっていいのか、と思うような仕上がりです。しかし、どうして切り抜きたい部分がわかるんだろう、不思議です。


アゴラ編集部:石田 雅彦