お金儲けがうまい人に共通する、「歪みの発掘」という目利き力 --- 内藤 忍

アゴラ

世の中にはお金儲けがうまい人と下手な人がいますが、その差を分けるのは歪みを見つけ出す「目利き」だと思います。利益というのは、歪みから発生するものです。

歪みとは例えばこういうことです。


隣の街で100円で売っている商品が、自分の街では150円で買う人がいる。その差を目利きできる人は100円で仕入れて150円で売りさばけば、歪みから50円の利益を得られます。

江戸時代の北前船というのは、北海道の昆布を安く仕入れて、富山などの寄港地で売りさばくことで莫大な利益を上げたと言われます。これも歪みに気が付いたから発達したビジネスなのです。

しかし、歪みを見つけられる目利きというのは、このようなビジネスに限りません。安いものを見つけてきて、高く売る。このシンプルだけど奥深い能力には、3つのエリアがあると思っています。

それは

ビジネスの目利き
人の目利き
相場の目利き

です。

ビジネスの目利きとは、必要とされているのに提供されていないものを見つけだし、商売として成立させてしまう能力です。ニーズが満たされていないという歪みの存在にいち早く気が付き、それに対応する商品・サービスを提供する。

100円で買いたいという人がたくさんいるのに、それに対応するものが存在しないのであれば、そこに70円で提供すれば、30円利益が入るという訳です。

ホリエモンこと堀江貴文氏はこのビジネスの目利きの天才ではないかと思います。自分の持っている能力や情報のどれが、世の中の歪みを埋めるのかを理解し、ピンポイントに必要とされているものを必要としている人に提供する。その見極め方が優れているのです。

人の目利きは、ベンチャー企業に投資をするベンチャーキャピタルの人に必要とされる能力です。新規ビジネスに投資する時に、目利きとして求められるのは、新しいビジネスが何をやるかではなく、誰がやるかの見極めです。例えば、ライフネット生命の立ち上げには谷家さんという天才ベンチャーキャピタリストの存在がありました。

彼が、出口社長─岩瀬副社長(当時)という2人の過小評価されていた人材を発掘し、正しく評価することができたことが、成功の最大の要因だと思います。ネット生保をどのように経営するかということより、それを誰に任せるかの方が圧倒的に重要なのです。

ベンチャー投資とは、究極は「人への投資」なのです。

そして、3つ目の相場の目利きも、歪みの発掘です。100の価値のある会社がなぜか70の価格に放置されている。あるいは逆に100の価値のある会社が、130で取引されている。前者は割安、後者は割高ということになります。本質的な価値を見極めることができれば、割高なものは売り、割安なものを買って利益を上げることができます。

このように、ビジネスでも、人でも、相場でも、歪みを修正する過程で利益が発生します。そして、歪みが修正されることによって、世の中の資源配分は効率化します。つまりこのような歪みで儲ける人たちというのは、世の中の効率化に貢献する対価として利益を得ることができるのです。

埋もれている資源や人材を発掘し、新しい価値を作っていく。歪みを正してくれる目利きの人たちがいるからこそ、世の中は便利になり発展していくと言えるのです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年5月18日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。