マレーシアの日本人にアベノミクスが酷評されている理由 --- 内藤 忍

2013年07月29日 23:36

クアラルンプール夜10:50発の深夜便で月曜日の朝7時に成田に到着しました。7時間のフライトは丁度睡眠を取るのに良い長さ。熟睡とは言えませんが、気持ち良く朝を迎えることができました。成田エキスプレスで戻る車中で書いています。

今回のマレーシア、仕事で出かけたのですが、わずか3日間に仕事以外にも様々なことがありました。また、それについては追々書いていきたいと思っています。

最終日の夜は今回の旅行でご一緒させていただいた福岡のコンサルタント脇田さんにご紹介いただき、現地で20年以上お仕事をされている方と夕食をご一緒しました。マレーシアへの企業進出や労務管理などのコンサルティングをされている方です。


現地で生活されている方のお話は旅行者の見方とは違った視点があってとても興味深かったです。内側から見るのと、外側から見るので正反対に見えることがあるのです。

例えば、アベノミクスです。国内では経済政策として評価されていますが、マレーシアでは安倍首相の経済政策に対する人気は散々だそうです。

マレーシアには日本から移住してきたシニア層の人がたくさんいます。退職を機にマレーシアに移住し、シニアライフを日本で受け取る年金で生活している人にとって、円安は現地の手取り年金額が減少することを意味します。マレーシアリンギットはドルに対して上昇していますから、ドルに対する円安と合わせてダブルパンチです。

さらに、マレーシア国内では物価も上昇しています。実感としてはインフレは年3%くらいだということです。

つまり、円安とインフレによって、わずか1年で手取りの収入が2割以上減ってしまったことになるのです。人気が無いのも良く分かります。

これはマレーシアという海外だからダイレクトに実感できることですが、起こっていることは日本国内でも同じです。円で収入を得ているほとんどの日本人は、1ドル80円から100円までの円安で、保有資産と受け取る収入の両方が外貨ベースでは、実は2割減っているのです。

日本国内にいて円ベースの生活をしていると気が付きませんが、円の価値の下落は少しずつ生活コストの上昇という形で、悪い影響を与えることになります。

「外貨資産は持つのがリスクではなく、持たないのがリスク」

ということです。

円安が続けば、そのうちに老後をマレーシアでという、退職後のモデルが成り立たない時が来るかもしれません。マレーシアの生活コストは日本の3分の1と言われていましたが、今や実感としては2分の1くらいまで格差が縮小しているようです。

日本の円で受け取る年金で、マレーシア生活をしている人は、大きな為替のミスマッチリスクを取っています。マレーシアでの年金生活が経済的に成り立たなくなって、日本に帰国せざるを得ない人が将来増えることは無いか? 何だか心配になってきました。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年7月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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