「ネトウヨ炎上ビジネス」が儲かるワケ --- 渡辺 龍太

2013年08月02日 20:31

最近、ネット右翼と呼ばれる人たちが、活発な動きを見せている。例えば、気に食わないと感じるテレビ番組の内容に文句を言うため、テレビ局ではなくスポンサーに抗議の電話をするなど、ネットという活動環境を超える事もあるようだ。そのネット右翼とは何者かというと、主にネットで保守的な言論を繰り広げる人たちの事だ。テレビや新聞などの従来型のメディアや、中国・韓国、そして在日外国人たちを特に激しく嫌い、匿名で誹謗中傷に近いような言論を繰り広げる人が多いのが特徴だ。


このネット右翼の殆どの人は、日本という国への愛国心が強い善良な市民なのだろう。しかし、あまりにめ『善良』すぎて、自分たちがアフィリエイターと呼ばれるネットの広告屋の金儲けの駒とされながら、煽られて過激な言論を繰り広げている事に全く気づいていないように見える。アフィリエイターとは、自分のホームページにネットの広告などを貼り付けて、それを多くの人に見せる事で儲けている人の事だ。アクセスの多いホームページを運営しているアフィリエイターは、ネット右翼を扇動するだけで食べて行けるだけの金額以上を稼いでる人もいるだろう。なので、今回は『善良』過ぎるネット右翼を煽って儲けるネットビジネスの解説をしてみたい。

例えば誰かのブログに、ネット右翼の人が読めば反日的と受け取る事も出来る記事が掲載されたとする。すると、即座にアフィリエイターたちが自分のホームページに、そのブログの文章がいかに反日的であるかという過剰な解説を書く。もちろん、その解説もインチキな事柄が多く、経済政策に関する解説などは都市伝説レベル以下の目も当てられない記事などもたくさんある。そして、Twitterなどを使って、『善良』なネット右翼の人たちに、その広告の貼り付けられた記事を読んでもらうために、あの手この手でブログを書いた人物を誹謗中傷したりインチキ情報を流して目だとうとする。そして、その文言に煽られた人達が、個々にTwitterなどで次々とコメントを書くなどして、炎上しながらアフィリエイターのページに次々とアクセスが集まっていくのだ。

この時のポイントは、多くのアフィリエイターが著作権を無視して自分のホームページに元のブログに書かれている文章まで無断で転載してしまっている事だ。彼らは広告屋なので、できるだけ長く自分のホームページに読者をとどまらせていたいと考えているという訳だ。つまり、アフィリエイターは金儲けなの為なら誹謗中傷を行ったり、著作権を無視したりと日本の法律に対するリスペクトを微塵にも感じさせない行動をとりながら、日本国への愛国心を語っているのだ。

また、ネットで炎上すると2chの掲示板で多くの人が匿名で議論する。ここにも金儲けの仕組みがある。2chには、まとめサイトというのがある。それは2chの掲示板に何個も書かれたコメントの、面白い部分だけを抜粋してまとめた文章を掲載しているサイトだ。恐らく、過去の2chの議論などについては、殆どの人がまとめサイトを読んでいるのだろう。そして、そのサイトは2chが運営しているわけでなく、多くはアフィリエイターが運営しているのだ(これは2chの規約上、著作権はクリア)。そして、ネット右翼を煽る事を専門としてアクセスを稼いでいるまとめサイトも多数あり、かなりのお金がが動いているはずだ。恐らく、2chのコメント自体も過激な事が書かれていないと議論が白熱しているように見えにくいので、アフィリエイター自身があえて過激な誹謗中傷のコメントを2chに書き込んでいる事も多数あると思われる。

何でこんなビジネスが流行るのかというと、リスクが無く、楽に金儲けが出来るからである。ホームページの設置や運営というのは、少し知識があれば初期投資は年間に数万円程度となる。そして、ネット右翼というのは反日的なトピックに常に興味を持っている人たちなので、SNSを使って反日的な情報を発信し続けていれば簡単に見込み客として囲うことが出来る。また、アフィリエイターは自分のオリジナルのコンテンツを書いている訳ではなく、常にどこかで炎上している事を自分のページに無断転載などして利用すれば良いだけなので、労力も少なく話題が尽きる心配もない。もし、思ったようにアクセスが集まらなかったとしても、仕入れなどがある訳でもないので、自分の労働が無駄だったというだけで撤退のコストも特にない。なかなか、こんな美味しいビジネスというのも無いのかもしれない。

さて、金儲けの仕組みがわかったら、具体例を分析してみよう。フジテレビの前で本当に反韓流のデモを行なっている人は本気なのだろうが、ネットで都市伝説レベルの情報でフジテレビを批判してネトウヨを煽っている人たちは単なるアフィリエイターだ。彼らはフジテレビが韓流を過剰にテレビで扱う事がステルスマーケティングなので良くないとネットで大騒ぎする事で、自分のホームページへのネトウヨのアクセスを集めている。ネトウヨの多くは気づいていないが、そのフジテレビのステマを批判する記事自体がアフィリエイターのステマとなっていて、それで稼いでいるのだ。そんな事には気づかない『善良』過ぎるネトウヨの多くの人は、アフィリエイターのステマ記事を真剣に読んで、フジテレビのステマが日本をダメにすると憂いているのである。実に気の毒な話だ。

これからは、このネット右翼扇動ビジネスも競争過多の時代にますますなっていき、叫ばれるスローガンも激しくななったり、様々なタイプのステマが出現していく事だろう。現在は、テレビ番組が気に入らなければスポンサーに電話しようと呼びかけたり、デモへの参加を呼びかける程度だが、それ以上の事をやるべきだと煽られる事もあるかもしれない。そんな時、もし過剰な行動を行ってしまったがために逮捕でもされたら、その人は人生を棒にふってしまう。しかも、本物の政治活動で逮捕されるならまだしも、誰かの金稼ぎの煽り文句に乗ってしまっただけというなら目も当てられない。そんな可哀想な人が出現しないためにも、ネットには愛国心を過剰に煽り炎上で稼ぐアフィリエイターというのが存在するという事を、もっと世間で注意深く認識する必要があると思う。

渡辺 龍太(わたなべ りょうた)
World Review編集長

十代後半で単身渡米し、ニューヨークやカリフォルニアで学生映画の出演や制作などをしながら4年過ごす。帰国後、テレビ制作会社の業務委託でNHKのニュース番組のディレクターを勤めた。その時に得たニュース制作のノウハウを使ってネットメディアWorld Reviewを2013年5月に設立。現在はWRの編集長としての活動や、テレビやラジオに出演している。
Twitter @ningenhyoron
World Review

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