逆風にさらされるリスキーな地銀をどうするか --- 岡本 裕明

2013年08月05日 12:25

このトピの下書きをひと月以上前にしながらなかなか日の目を見ず、どうしようかと思っていたのですが、ようやくアップするタイミングが訪れたようです。

日経によると都民銀行と八千代銀行が統合交渉に入った報じています。ようやく、という気がしますが地銀、第二地銀などの経営基盤は弱く、その再編は不可欠とみられていました。今日は地銀再編について考えてみたいと思います。


日銀は長期国債の利回りが不安定になっていることに注視しています。アベノミクスで株式や為替で湧く一般庶民にとって国債の金利が上がることは専門的であり注目する人はどうしても限られるでしょう。しかし、日本の長期国債の行方は我々の生活に直接影響することもあります。たとえば長期金利が上がれば住宅ローンの長期金利に影響します。事実、大手銀行はこのところ、着実に金利を切り上げてきましたがこれは昨今の不安定さや金利上昇(国債価格は低下)していることを反映しているのです。つまり、国債の動きは株や為替と同じぐらい生活に密着しているものなのです。

最近ささやかれているのが地銀のリスク。地銀はリーマン・ショック以降、国債の持ち高を徐々に増やし、国債からの収益が地銀の屋台骨を支えているところも多くなってきています。その増加は保有する有価証券に対して2008年には38%程度だったものが最近はやや下がり気味であるもののまだ48%の水準にあります。国債にシフトした理由はリスクオフといわれる株価の不安定さを受けて安全でリスクが少ない国債でしっかり稼ぐというものでした。

しかし、メガバンクでは貸し出しをせず、国債市場で薄利の荒稼ぎと揶揄され、決して前向きな評価ではありませんでした。それでもメガバンククラスならば海外の大型案件に大規模な融資を行うなど、地球規模での貸し出しも行っていますが、地銀のレベルになるとそういうわけにはいきません。勢い、優良貸し出し先が少なく、今年3月までの中小企業金融円滑化法のもと、いやいやながら貸付をした結果、「潜在的不良債権の温床は地銀」とまで言われていました。そうなれば勢い、地銀が国債にシフトするいうのはやむを得なかった事情かと思います。

ですが、ここにきて国債価格が不安定、下落気味、さらに市場での商いが薄く、売買がしにくいという三重苦の時期もあり国債価格の動向次第では地銀には思わぬ逆風が吹き荒れるという見方もあります。

政府としてはようやく金融システムがバブル崩壊から立ち直り銀行が法人税を納税するところまでたどり着いたのに再び、あのような事態になることは避けたいでしょう。しかし、市場は市場です。誰もその行方を見通すことはできません。

ならば、一つのアイディアとして地銀の再編を一気に進めるというのは手かもしれません。地銀は現在64行(第二地銀まで入れると105行)ありますが、当然ながら同一県に複数の地銀があるところも多くなっています。特に福岡と静岡にそれぞれ4行、3行となっており、二つ以上の県も13あります。しかしながら地銀それぞれの体力を考えれば今や一つの県に一つある必要もないはずで数県に1~2つ程度まで減らして効率経営を高める時にあると思います。

地銀は国債のリスクを見通して持ち高を少しずつ減らして外債などにシフトしていますが、不良債権が出る前に一定規模の大同合併を挙行すべきかと思います。

見方によっては日本の国債市場は力やテクニックで抑えているようにもみえます。しかし、力ずくの対応はどこかで箍が外れたように上昇する力も蓄積していることもあるとすれば銀行が大量に抱える国債、さらには日銀が買い続ける国債が将来、不良化し、膨大なる損失を計上するリスクは頭に描いておいた方がよいのかもしれません。それ故に国債売買のウェイトが高い地銀の再編は意味あるものだろうと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年8月5日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑