市場が恐れる「Septaper」ってナニ? --- 岡本 裕明

2013年08月11日 10:20

最近市場関係者で時々使う造語があります。

Septaper、つまり9月を意味するSeptemberと先細りを意味するtaperを重ね合わせたものであります。

FRBによる金融の量的緩和を9月から少しずつtaper off(量的緩和の脱却)するのではないかと多くの市場関係者は考えています。バーナンキ議長はあくまでもさまざまな指標を見定めてから、という姿勢を崩していませんが9月でなくても早晩、量的緩和からの脱却は起こりうるという点では一致しており、市場は戦々恐々としているというのが見て取れます。


悪いことに夏休み真っ盛りの時期ということで市場も比較的閑散としているムードの中、動きにくい、というのが正直なところです。

では目先、緩和からの脱出を図るのか、といえばそうせざるを得ないのですが、これがなかなか難しく慎重にならざるを得ない、という感じに思えます。というのはドルはアメリカの国内通貨という顔と基軸通貨として世界のマネーという二つの顔を持っています。バーナンキ議長をはじめ、FRBの理事の最近のコメントはアメリカ国内の景気動向をベースに緩和の脱却の時期の議論を述べていますが、基軸通貨としてのコメントは少なくとも私は聞いておりません。ところが緩和脱却のニュースが世界を駆け巡ってもっとも影響を受けたのは新興国通貨であったことはあまり記事になっていません。

仮にこのまま、量的緩和の脱却を進めるならば一部の新興国にかなり「痛み」を伴うことも想定されます。事実、ブラジルレアルやインドネシアルピーはニュースのあと、大幅に対米ドルで下落しています。それは一部の国にインフレリスクが高まることに繋がり、世界経済にひずみを残すことになるのです。

バーナンキ議長は来年1月で退任する意向のようですが、退任後に量的緩和を進めた結果、世界経済を路頭に迷わせたとでも評価され、アメリカ議会で喚問でもさせられてはたまったものではないと考えている日々かもしれません。

ところでこのSeptaperですが、日本でも当てはまる状況になってきています。

日本の株式は一歩進んで二歩下がるという状況で個人投資家は再び追証の危機にさらされることになるのではないかとそれこそ夜も眠れない日を送っている人も多いと思います。チャートからみると8月末に向けて煮詰まり、9月にどちらかに動く、という見方が出来るのですが、日本にも9月に大きな話題が控えています。一つは消費税の行方。もう一つはオリンピックの結果。単純に考えれば消費税引き上げを当初の予定通りとすることを決定し、オリンピックが日本に決まれば株は上に行きそうです。消費税が上がることが何故、株式の上昇に繋がるか、といえば国内の過半を占める外国人投資家からみて消費税の予定通りの引き上げが日本の財政問題解決への強い姿勢という解釈なのであります。

くれぐれも勘違いして欲しくないのですが、消費税が上げることで日本の財政が改善するという解釈ではなく、政府が強い姿勢でこの問題を解決しようと努力し、国民の根強い反発をも押し切る自信を確認したがっているという意です。

少なくとも8月の残る3週間は材料難もあり、商いが薄いこともありテクニカルな売り崩しもありえます。それ故にこのところ良くみられる一日の中で下がったと思ったら上がり、上がったと思ったら下がるという実に落ち着きのない相場つきになっていると考えています。少なくとも素人が手を出す状況にはありません。株式評論家のコメントもこのところ一気にトーンダウンしているのは読めない相場ということになります。

Septaperになるかどうか、これはアメリカ、日本それぞれに材料を持っています。そして、中国の経済指標にも一喜一憂しなくてはいけません。ドルが下がる、金が上がるということはドルの量的緩和がややトーンダウンしているということも言えなくはないのかもしれません。

夏の夜は本当に寝苦しいかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年8月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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