「豚よりも牛」という投資格言

2013年09月03日 09:00

投資の基本を表す格言の一つに、「豚よりも牛」というのがある。牛というのは、食肉用の牛のことではなくて、乳を搾るための乳牛のことである。豚から乳を搾るという話は聞いたことがない。豚は食肉用のものである。この格言の意味は、牛へ投資するというのは牛乳を搾ることだというのである。


これは、以前、アメリカの有力な投資顧問会社へ調査に行ったときに聞いた格言で、その会社の投資哲学なのである。この会社の特色ある運用戦略に実物資産投資がある。実物資産投資に、この格言を当てはめるとどうなるか。答えは、パイプライン投資である。

石油や天然ガスそのものに投資することは、豚を飼う(買う)ことである。それに対して、その石油や天然ガスを流すパイプラインを買うことは、乳牛を飼う(買う)ことである。パイプラインからは、定期安定的に、使用料(即ち牛乳)が生まれるが、本当の投資とは、この使用料を得ることなのだというのである。

事業としての投資は、投機ではあり得ない。科学的にリスクとリターンが管理されなければならない。石油や天然ガスの値上がり益を期待するのは、単なる投機であって、投資ではないのである。パイプラインの使用料は、流量に対して課金されるので、中を流れる石油等の価格変動に伴うリスクは限定的である。

パイプライン投資のリスクは、施設管理面のリスクである。例えば、石油価格が下落して、油田の生産コストを下回れば、生産が停止してパイプラインも使われなくなる、というようなリスクへ投資するのが、パイプライン投資である。鍵は稼働率だ。

実は、このパイプライン投資の考え方は、現在の不動産投資の考え方と全く同じである。科学としての、あるいは事業としての不動産投資とは、収益物件への投資のことである。即ち、投資対象は、ビルそのものではなくて、そのビルが生み出すテナント料収入である。ビルが乳牛であって、テナント料が牛乳なのだ。

ビルを取得するのは、テナント料収入を得る権利を法律的に取得するための方便であり、投資の本質としては、ビルへの投資ではなく、テナント料収入への投資なのである。

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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