「ハイブリッド神話」の真偽 --- 岡本 裕明

2013年09月13日 11:37

新型のホンダフィットHVが1リットル当たり36.4キロメートルの燃費となり世界一を記録したそうです。日本の自動車の燃費については80年代に高騰するガソリン価格に対応するように燃費競争が激化し、その後、一時期、平穏な競争だったと思いますが、ハイブリッドや電気自動車の燃費に刺激されるように、軽自動車の燃費改善やマツダのスカイアクティブのような技術が競うように紹介され、新たなる燃費競争に入ったような感じがします。


世界を見渡せばアメリカもドイツも燃費の改善はしているものの日本の水準は明らかに他国を凌駕しているように見えます。燃費の改善は自動車購入に繋がる重要なマーケティングでありますから今後も大いに注目したいところです。

そのハイブリッド。日本でもトヨタプリウスやアクアなどを中心に圧倒的な売り上げとなっていますが、果たして経済的にはどうなのか、といえば案外立ち止まって考えてみる必要があるかもしれません。

大雑把に計算しましょう。

燃費35キロの車と20キロの車があります。
あなたが10万キロこの車を運転するとします。この燃費の差によるガソリン代はいくら節約できるでしょうか?

10万キロ走るのに燃費35キロの場合が2857リットルに対して、燃費20キロの場合5000リットルですからその差は2143リットルです。ガソリンが1リットル140円で計算するとちょうど30万円です。

ちなみにホンダのフィットのHVとノーマルの価格差は30万円ですのであなたが10万キロ以上走るのであればHVの方がお徳になります。では10万キロ乗るために10年近くも乗れるのか、といえば無理だろうと思います。電池部分が劣化するためで、たとえばプリウスはせいぜい7年で交換しなくてはいけません。これはかなりコストがかかるため、結果としてプリウスを長く乗る人は少ないとされています。

また、車を10万キロ乗る人は少数派ではないでしょうか? 普通は5万から7、8万キロがいいところだろうと思います。国交省の資料を見る限り乗用車の一年当たり平均走行距離は1万キロ、所有は7、8年ですからほぼ、はずしていないレンジでしょう。

ここから類推すると単に経済的なことだけを考えればノーマルとハイブリッドの購入の際には割としっかり計算をして購入した方がよいということかもしれません。

1、2年前、当地の新聞でGMのハイブリッド車「ボルト」の経済計算をした記事があったのですが、記憶が正しければ平均走行距離の長い北米でさえボルトの経済計算は合わない(得をしない)という結果でした。

ただし、新しい技術に対して大きな需要が生まれることで更なるコスト改善が生まれることも事実です。日本でトヨタやホンダが必死にハイブリッドを売ったことでより改善された車が登場し、世界でも圧倒的地位を築いてきたと考えればハイブリッドは日本全体で後押しして日本経済を応援するという気持ちになることのほうが意味があるのかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年9月13日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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