魚を神聖視するモンゴルの人たち

アゴラ編集部

モンゴルという国は、チンギス・ハーンの昔から遊牧の民が暮らす土地でした。古来、中国からは辺境の地、匈奴と呼ばれ、中華文明からは蛮族とされていたんだが、チンギス・ハーンの統一から極東から東欧、中東まで広がる大モンゴル帝国を作りあげ、それが大元帝国となります。しかし、明に滅ぼされて以降、消長を繰り返しつつ勢力が減退。清に統治され、さらに旧ソ連の影響下にモンゴル人民共和国として社会主義国になります。


モンゴルは1990年のベルリンの壁の崩壊後、民主化されます。国民の選挙によって選ばれる大統領制と議会民主制が併存する社会体制に移行。こうした変化を背景にして、日本の角界へ入門してきたのが、旭鷲山、旭天鵬、旭天山らの6人でした。遊牧民である彼らにとって、相撲の世界はまったくの異次元だったようです。海のないモンゴルでは、魚は「神様の使い」とされ、神聖な生き物と考えられています。しかし、チャンコでは普通に魚を食べる。6人は泣きながら魚を食べたそうです。

日本語もわからず、相撲の稽古は親には見せるな、と言われるほど厳しい生活に耐えきれず、6人のうち、旭鷲山ら5人が渋谷の松濤にあるモンゴル大使館へ逃げ込んだことは当時、大きな話題になりました。入門部屋の大島親方らが大使館へ引き受けに出向き、説得され、その後、旭鷲山はモンゴル人初の関取になっています。日本の角界におけるモンゴル出身力士の活躍ぶりはご承知の通りです。なにしろ2006(平成18)年1月場所以降、日本人の優勝はなく、そのほとんどの場所でモンゴル人力士が賜盃を手にしている。

旭鷲山も大平原で生まれ育ったそうです。愛馬を乗りつぶし酷使して殺してしまったときには、故郷の聖山山頂へその馬の首を抱えて登り、別れを惜しんだ、と言っています。そんな遊牧の民も、民主化と経済発展が進み、都市で生活する人が増えているようです。

折しもモンゴルのノロブ・アルタンホヤグ首相が来日中です。表題の記事によれば、大平原から大都市ウランバートルの周辺でゲル生活を送り、冬期に焚くかまどから大気汚染物質が出ているらしい。中国のPM2.5も原因は同じです。かまどの燃料を良質のものに変えれば、汚染は減るんだが、さまざまな要因でそれが長く続くとは限りません。人間が吐き出す汚染物質というのは、やっかいなもんです。

Meets Mongolia
モンゴル、ウランバートルの大気汚染20%減


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クラシック好きショパン好きは要チェックの記事です。米国カリフォルニアのサイトのサービス。標準的な品質のオーディオファイルなら無料でダウンロード可能。クラウドファンディングで支援するとFLAC、MP3、M4Aのファイルで24ビット192kHzのデータが入手できるらしい。ショパンのCDが245枚あるそうです。でもこれ日本で聴けるのかな。


アゴラ編集部:石田 雅彦