“SPA化”するAERAの残念な件

2013年09月16日 07:00

3連休最終日、いかがお過ごしですか?台風がまもなく直撃とのことで皆様お気を付け下さい。
今回はアゴラではなく、アエラの話。一文字違いで随分印象変わるな(笑)昨日、赤坂で野暮用があり、コンビニに立ち寄った時のこと。雑誌コーナーで今週号(9月23日号)の「AERA」の表紙に、日本が誇るロックスター「B’z」が出ているのが目を引いた。ちょっと立ち読みしたら、「あれ?」と思ったことが…。


※せっかくB’zが出てくれたのに・・・
130916AERA

えー、今週のメインの特集は「論争・お荷物社員は誰だ」。ほほう。私、人事コンサル会社の広報顧問も請け負っている関係で、キャリアや人材、職場関連で目に付いた雑誌記事があればチェックしている。どれどれ。何でも会社勤めの1053人にアンケートを取り、「お荷物社員は誰だ?」と聞いてみたそうだ。それで全世代から「お荷物度」ランキング1位になったのは「50代男性」。見出しでは、「会社の過積載」扱いをされている。で、思った。「キター!今回の標的は50代のオッサンたちか?」と。

そもそも、特定の世代を槍玉に挙げるのは朝日新聞やAERAの伝統芸能。有名なのは「ロスジェネ世代」だ。本来は、第一次大戦後に頭角を現したヘミングウェイやフィッツジェラルドら米国人作家たちの世代をさしていたのだが、朝日本紙の正月特集だかを機に、今や就職氷河期に直面した我々世代の“異名”として定着してしまった。それで今回の記事も50代のオッサンをいじめて終わるのかと思ったのだが、さらに印象的だったのはイラスト。人物をエグく描いた絵に見覚えがあるぞ?あれ?これ「SPA!」と同じじゃないか!?

ネットで調べると、イラストの作者はやはり同誌でも仕事をされている佐藤ワカナさん。喜怒哀楽にまみれた人間の本性を浮き彫りにする絵のタッチは私も嫌いではないのだが、「SPA!」的な世界観が広がっていた……いや、読み進めると、似て非なる光景だった。50代男性に対する「給与が高いのに仕事をしない」といった若手の怨嗟の声に加え、城さんの「もらいすぎ世代」というコメントでとどめを刺す。ここまでなら「SPA!」でもあるだろうが、世代間対立を煽るにとどまらない。「ワーキングママVS独身女性」「正社員VS非正社員」などの摩擦も列挙。2ページ目には、それらの対立構造をわかりやすく図解化した「会社の憎悪相関図」という、おぞましい絵を掲載している。おまけに半沢直樹ブームの影響からか「銀行は憎悪の巣窟」といった切り口で職場ごとなで斬りにもしている。

結局、職場内の様々な軋轢をかき集めた記事は、どういう落としどころを見せるのか?城さんが記事の終盤に再登場するなど、専門家による問題点の分析や何か一定の解決策でも示すのだろうか、と読み進めたが、最後のパラグラフはこんな調子だった。

世代間の対立、働き方の確執、正社員と非正規雇用の摩擦が起きる根本的な原因は、会社や雇用の仕組みにある。社員の怒りを目の前の「仮想敵」に向かわせたまま問題を放置する会社は、しっぺ返しがくるはずだ。

え?この二言で終わり?結局、記事に「救い」を求めた淡い期待はあっけなく打ち砕かれた。医療行為に例えれば、処方箋を示さないどころか患者の体をメスでなで斬りにして、縫合もせずに放置したような展開だ。筆者は唖然とした。イラストの体裁やネガトーンを前面に出ている点は「SPA!」的ながら、あっちは、どこか茶化している分、まだ「笑い」の要素がある。しかし、このAERAの記事には、おぞましい光景をただ見せられただけで後味が悪いとしか思えなかった。見た目こそ“SPA化”したが、AERAお得意の社会的意義の提示や考察がない。ていうか、それがあってのインテリ朝日じゃねえのかよ?

※今週号もお約束の駄洒落は健在
130916AERA2

もしかしたら、「お荷物社員」などというワードをバズらせようという魂胆が、この記事をメイン特集に据えた動機なのか。不安や対立を煽るだけで読者が満足すると思うのは大概にしてほしい。皆、真剣に悩んでいるのだ。かつてのAERAなら、記事の結論にある「問題」を放置せずに前向きにやっている企業を、先進的な事例として朝日らしく「僕知っているもんね」と得意満面で紹介したではないか。

AERAといえば、中吊り広告のユーモラスな駄洒落の一行コピーや、ビジュアル重視の紙面づくりに見られる都会的なオシャレさ、出版社系の週刊誌とも異なる独特のジャーナリスティックな視点といった硬軟の要素を絶妙に織り交ぜ、新聞社系週刊誌では異彩を放ってきた。しかし新聞社の週刊誌は、読売が廃刊、毎日も先行きが心もとなく、AERAとて例外ではなく部数減の波をもろに受けている。朝日は、出版部門の別会社化など青色吐息で週刊朝日との二誌体制を何とか続行してきたが、今となってはAERAの存在感はそれなりに稀少価値がある。今回がたまたまなのかもしれないが、「貧すれば鈍する」といった全体的な質の劣化の一端でないことを祈りたい。

そういや朝日で思い出したけど、ハフィントンポストは、いつになったら、原稿オファーくれるんでしょうか?え?お前みたいな下世話なブロガーには用が無い?すいません。無理を言ってみました。お呼びでないようで。ちゃおー(^-^ゞ

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ

タグ: ,
アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑