「解雇特区」より「法人税特区」を

2013年10月05日 08:01

朝日新聞が「解雇特区」と名づけてつぶそうとしていた国家戦略特区は、当初案より大幅に後退し、対象を「弁護士らの専門職と院卒者」に限ることになった。座長の八田さんには悪いが(彼もこれがいいとは思ってないだろうが)、これではほとんど意味がない。


そもそも雇用規制を特区で緩和するという発想は筋が悪い。「労働者保護の抜け穴ができる」という法律論で反撃しやすいからだ。おまけにその中で特殊な労働者にしぼるなんて、特区としての効果もない。専門職に限るなら、全国で労基法の適用除外にする規制改革を提案すべきだ。

国家戦略特区でやるなら、法人税特区のほうがいいと思う。たとえば大阪府を5年間法人税ゼロにして、税収がどれぐらい減るか実験すればいいのだ(松井知事は賛成すると思う)。おそらく全世界の金融機関が本社を設置して、大阪にオフショアの金融市場ができ、高所得のトレーダーが集まってトータルな税収は増えると思う。

もちろん財務省は反対するだろうし、租税競争を敵視しているOECDも問題にすると思うが、タックスヘイブンは原理的になくすことはできない。ケイマン諸島のオフショア取引を取り締まっても、世界に分散して地下にもぐるだけだ。それならいっそ大阪に集めて、法人税率はゼロにするが会計は100%透明にすればいいのだ。

アメリカでは、デラウェア州の法人税率などが低く規制が少ないので、NY証券取引所の上場企業の半分がデラウェアに登記上の本社を置いている。大阪が「日本のデラウェア」になってアジアから企業を集めれば、結果的に雇用慣行も多様化するだろう。インフラが整備されて治安のいい日本は、本社を置くには新興国より有利なのだから、この立地条件を生かすべきだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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