原子力政策は無法状態

2013年10月09日 00:13

きのうは夜8時から、ニコ生で2本の番組に同時に出た。1本は言論アリーナ(録画)で、石川和男さんと「日本は法治国家なのか?」というテーマで、もう1本は文化放送の「田原総一朗のオフレコスペシャル」で河野太郎さんと原発論争。特に後者は、田原さんが入院したため司会がアシスタントだけで大変だった。


ただ、意外に両者には共通点があった。日本の原子力政策が法的根拠のない「空気」で、なし崩しに決まっているということだ。特に汚染水問題で国が470億円を「研究開発費」として予備費から出したのは、東電に対する贈与である。原発のまわりに万里の長城みたいな「遮水壁」を何kmもつくって凍結させるのは、冷凍庫を何万台もつくるようなもので、470億円でできるはずがない。

ここでなし崩しに国の支出を認めると、あっという間に数兆円が出ていくだろう。しかも東電を生かしたまま丸ごと「分社化」して税金を投入しようという案は、「加害者」である東電の株主を無罪放免して、何の落ち度もない納税者が罰金を払うようなもので、資本主義のルールではありえない――という点で、河野さんも石川さんも私も一致した。

この場合むずかしいのは、株主資本の100%減資は当然として、事故後の緊急融資の扱いをどうするかだ。これは経産省が債務保証したため、東電を生かして国が「支援」するという変則的なスキームの原因になり、さらに1兆円の資本注入、そして今度の予備費と、責任の所在が不明なまま巨額の税金がつぎ込まれてきた。

ここで歯止めをかけないと、10兆円を超える税金が責任不在のまま「ゾンビ東電」に投入されるだろう。分社化の議論は、まず東電を法的整理し、司法の場でオープンにやるべきだ。河野さんも「事故後の緊急融資は国が事実上の債務保証をしたんだから国家賠償するしかない」と言っていたが、私も同感だ。

再稼働についても、河野さんはすべてずっと止めたままにしろという意見ではなく、何のルールもなしに「空気」で止めるのはおかしいということだった。これも私は同じ意見で、たとえば事故の直後に福島第一と同じマークⅠ(全国に4基ある)は緊急停止して点検するという経産省令を出すこともありえたのではないか(マークⅠのリスクは30年前から警告されていた)。

そういうルールをつくれば、ボーイング787のバッテリーに問題があったとき同型機を止めたような対応も可能だった。今はボーイング787のバッテリーが火を噴いただけで、日本中の飛行機を無期限に止めているようなものだ。こんな無法状態は法治国家として許されない――という点でも、河野さんと石川さんと私の意見は一致した。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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