便利な巨大ショッピングモールが、日本全体を画一化していく --- 内藤 忍

アゴラ

宮崎の講演が終わって、昨日午後に東京に戻りました。

講演は午前中だったのですが、終わってからフライトまで時間があったので、宮崎出身の義妹に教えてもらった回転寿司のお店に行ってみました。11時半前なのにお店はほぼ満席。活気があります。お寿司の価格は東京より良心的なのは想定内ですが、何と言っても驚きはそのクオリティです。


実は前日もホテルの中にあるお寿司屋さんで食べたのですが、それほど大きな差は感じられませんでした。ネタも新鮮、ご飯もちゃんと握ってあって、会計は6分の1。地元で大繁盛のお店のようです。

しかし、このような地元の個性溢れるお店と言うのは地方にはあまりありません。

ランチをした後で、歩いて行ったモールは巨大なショッピングセンターでした。ディズニーランドのような広大な駐車場を通って中に入ると、専門店が立ち並びます。そのほとんどは東京にもある全国チェーンのお店です。

飲食店街を覗いてみると、マクドナルド、KFC、スタバ……というように見たことのあるお店が一堂に並んでいます。確かに地元の人にとっては便利なものなのかもしれませんが、ここに人が集積することで、地元の個性あるお店がどんどん客を奪われていくのが実感できました。

ショッピングモールに車で来れば、すべてのことが簡単に済ませられる。便利なのは事実ですが、日本全国がこれによって画一化されていくのは、寂しい気もします。

日本という国は、それぞれの地域に独自の文化があり、たった数日滞在しただけでも、東京にいる時とは違った風習や生活習慣、食事などに触れることができます。それこそが日本国内で旅行をする楽しみの1つです。

ところが、全国チェーンによってどんどん画一化が進めば、そんな楽しみが減っていってしまい、地方の魅力が無くなってしまいます。地元の人たちの利便性も重要ですが、特色の無い街には人は集まりません。

東京の人間のわがままなのかもしれませんが、地元で個性あるお店を続けている人の商売が成り立つような社会になって欲しいと思いました。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年10月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。