イージス艦新配備とミサイル防衛網と秘密保全法案と --- うさみ のりや

アゴラ

どうやら「あたご」型のイージス艦2隻を追加配備することを決まりそうです。日本ではイージス艦は北朝鮮の弾頭ミサイルに対するミサイル防衛網(=ミサイルをミサイルで撃ち落とす)を担う役割を期待されており、第一弾の盾としてイージス艦に搭載されるSM-3が発射され、二段目は地上配備型のPAC-3が発射されるという二段構えの構えになっています。

そもそもイージス艦とはアテネ神話で、ゼウスがアテネに与えたあらゆる邪悪・厄災を払う「イージスの盾」に由来しています。開発経緯は冷戦時にソ連が爆撃機とミサイルを大量配備して、物量でアメリカ海軍を圧倒しようとしてきたことに対抗し、「雨あられの用に降ってくる大量の爆弾をレーダーにより同時補足し、ミサイルをITで誘導することによって予め迎撃して艦を守る」いうコンセプトで開発されました。このようなイカレタ発想を実現してしまうアメリカはさすがで、イージス艦は450kmの範囲で同時に200の対象物を補足し、20機程度の対象と同時に戦闘を行うことが出来ます。当初は空母の護衛を想定されて作られたのですが、今ではミサイル技術が進化したので敵基地攻撃能力を簡単に持つことが出来るようにもなったので、イメージ的にはエヴァンゲリオンのラミエルの用な存在になったと思ってください。(↓参考)

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現状でのイージス艦の配備状況は 、横須賀1隻、舞鶴2隻、佐世保3隻ですが、少々西日本によりすぎてるので、これに加えて大湊(青森)辺りに配備されるのかな~と勝手に思っています。津軽海峡の重要性も増してますね。イージス艦のこれまでの弾道ミサイル対策の実績は上々で

2007年12月18日(成功):

「こんごう」(佐世保基地所属)がハワイでの迎撃実験で、高度100キロ以上の大気圏外を飛行する標的ミサイル1発の迎撃に成功

2008年12月20日(失敗):

「ちょうかい」(佐世保基地所属)が模擬弾道弾の発射時刻を知らされない状態での迎撃実験を行い、探知、追尾、発射には成功したが撃墜には失敗。ちなみにSM-3の弾頭部分はガンダムで言ういわゆる「ファンネル」に近いキネティック弾道で自律で目標に近づき攻撃するシステムで実用まもなかったのでこれは致し方ないところもある。

2009年10月27日、2010年10月28日(大成功):

「みょうこう」(舞鶴基地所属)は2009年10月27日、「きりしま」(横須賀基地所属)は2010年10月28日に弾道ミサイル迎撃試験(JFTM-3、JFTM-4)を行い、予め時刻を知らせられない条件下で発射された射程1,000km級の弾頭分離型準中距離弾道ミサイルを模した標的ミサイルの捕捉・追尾・迎撃に成功した。

といったところで世界に衝撃を与えています。日本のミサイル防衛システムはアメリカのものをベースに独自の改良を加えたものですが、ミサイル防衛網って絶対無理と思っていましたが見事に完成しつつあります。いやはやホント技術の進歩は凄い。ちなみに少し話がそれますが、最近ではパレスチナのミサイルをイスラエル軍が撃ち落としたそうです。イージス艦の中核システムは国家機密中の機密で、未だにブラックボックスの部分もあり同盟国ですらアメリカが絶対に触らせてくれないものとなっています。

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そんな大事大事なイージス艦の機密を日本は一度漏らしそうになったことがありました。2007年に「きりしま」の元乗員がイージス艦の情報を家に持ち帰っていたとのことで、彼の嫁が中国人の不法入国者であったこともあり、中国のハニートラップではないか、との憶測も呼びアメリカから大きく問題視されました。この影響で日本は次期戦闘機の選定で史上最強の戦闘機F-22の購入を断念せざるを得なくなった経緯があります。(結果としてそれは良いことだったようにも思えますがその辺の話は後日)中国がスパイを放ちまくってアメリカの軍事情報を入手しようとしているのはもはや疑い用も無い事実で、F-35の機密情報の一部が中国のサイバー攻撃で漏れた可能性があることはアメリカの高官も認めています。

そんなわけで色々と「政府が都合の悪い情報を隠す」とかいって色々と問題視されている「秘密保全法案」ですが、個人的には絶対にこの手の法案が日本の国防上必要だと思っています。最悪日本のミサイル防衛網やイージス艦本体の情報が漏れたら、日本の安全保障は文字通り丸裸にされてしまいますからね。中国が本当の意味で空母とイージス艦級の駆逐艦を運用する日が来たら、その時は台湾が中国の手に落ちるでしょうし、日本近海の制海権もかの国に奪われてしまうので、それはなんとしても阻止する必要があります。

ということで、色々陰謀論を騒ぎ立てるのも大事だけど、現実にある危機に対して手当をするような法律はやっぱり必要という話でした。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2013年11月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。