食材偽装は「おばかな客」と「嘘つき商人」のあわせ技

2013年11月21日 01:16

今回の「食材偽装」は「消費者庁」と言う不必要な役所を作り「景品表示法」などと言う役にも立たない法律を作ったからややこしくなったもので、昔からある「詐欺罪」か「不正競争防止法」を適用すれば済む話である。

この事件をきっかけに、メニュー表示に関する法的な規制を更に強化する話が出ていると聞くが、とんでもない話で、最善の対策は「下らぬ表示」を外す事である。


健康に関心が高まっている今日、食品に含まれている栄養素や成分の目安をメニューに表示する必要はあろうが、食材の原産地や固有名詞は客に聞かれたら提示すれば充分で、更に細かくメニューに表示義務を課したら、メニューは一人では持ち上げるのも難しい「昔の電話帳」みたいになってしまう。

外食はあくまで「嗜好」で、楽しいことが重要な要件であり、書類の様なメニューを確かめながら食べる物ではない。これを、野菜、果物、鮮魚、精肉など素材そのものを売り物にする店と一緒くたにして、外食店を規制する考える方そのものがどうかしている。

外食店の評価は、ミシュランやザガットは勿論どの外食格付け会社も、「味」 「雰囲気(内装)」 「サービス」 「値段」を基にしており、メニューのコンプライアンスなど評価の対象にすらなっていない。

兎に角、この問題はグレーゾーンが多く、法律的な切り口で語る種類のものではなく、それこそ「国家の品格」が問われる「道徳」の問題である。

今回の事件で一番悪いのが高級外食店の「嘘」にある事は言うまでもないが、次に狂っているのが、「グルメ」か何か知らないが、料理ではなく「ブランド」を賞味する「おバカな客」である。

この「おばかな客」がいるからこそ,偽物の素材を使っても簡単に誤魔化せると自信を持った外食店側の儲け主義の格好の標的にされ、彼らの思った通り外食店側が詐欺を告白するまで「さすがXXXだけあって、美味だった」と満足して来たのである。

これを言い換えると、この事件は実害を受けた被害者のいない「詐欺」と言う事になる。

そもそも日本は、精進料理(もどき料理)や「がんもどき」に代表される様に、数々の「もどき食材(代用食品)」を世にだした元祖とも言える国で、安い素材を使って本物以上の味を出す「腕前」を誇ってきた。
その腕前は、健康維持の為の「もどき食材」をもつくり出し、大袈裟に言えば、世界の健康維持にも貢献している。

そして、今度の事件についての外国のマスコミの記事を読むと、東日本大震災直後の日本国民の行動が正直で真面目、そして公共心の強い国民だと世界を感銘させたが、恵まれた階級の日本人には嘘をついても儲けに走る「金の亡者」や「ブランド妄信」の成金も多いことを世界に印象つけてしまった感がある。

もう一つ残念なのが、店の差別化に「料理人の腕」が無視され、素材の誤魔化しが使われても文句一つも言わない「料理人気質」の堕落と誇りの無さである。

しかし。今回の騒動が日本人に根強い“ブランド志向”を考え直すきっかけになり、消費者自身が一流ホテルだから、ブランド銘柄だからと妄信せず、もっと知識武装して自分の判断を尊重する機運が生まれれば怪我の功名である

この問題について、未だに役人気質の抜けない自民党の町村信孝氏が「外食の適正表示の徹底を!」と言うブログを書いているが、私の考えはその対極にあり、次稿「食材偽装の再発防止は、消費者庁の廃止から!」で反論を試みたい。

2013年11月19日
北村 隆司

 

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