「ゆとり世代」に気づいて欲しいこと --- 岩瀬 大輔

アゴラ

ライフネットの新卒採用企画で、入社1、2年目のいわゆる「ゆとり世代」20名と対話をした。ライフネット、マネックス、リクルートキャリア、ADKの4社から各5名ずつ。

事前に彼らが職場で「なんで? おかしくない?」と疑問に思っていることを書いてもらい、それをピックアップして私と特別ゲストと会場の皆さんで話し合うというもの。2月中にはライフネットの新卒採用サイトにて掲載予定なので、こうご期待。


彼らの色々な質問に共通したのは、「自分たちの目からみると合理性がないこと/常識とは考えられないことが、なぜ企業社会ではまかり通っているのか?」といった疑問だ。

「会社にビーサンで通勤しちゃダメと言われた。なぜ?」
「社内の飲み会でなんで先輩にお酌しなくちゃいけないの?」
「私は事務職だから外部の人に会うことはない。なんで化粧しろって言われるの?」
「大企業を選んだお前は安定志向だと言われるが、大企業が安定なんて思ってない。なんで上の世代はそう思うの?」
「自分は目をみてハキハキ挨拶するが、なんでみなPC見ながらしか挨拶してくれないのか?」

彼らとの対話で感じたのは、彼らが
・ 社会は機能性・合理性だけではなく、一定のプロトコール・規範のもとで動いていること
・ 自分とは違う世界観をもった人たちがたくさんいて、一つの正解があるわけではないこと
・ いい仕事をするため、自分のやりたいことを実現するためには、その共通言語に沿ったコミュニケーションが不可欠となること
に、必ずしも気がついていないということだ。

確かに、機能性だけを考えたら、スーツなんて着る必要はないかもしれない(ちなみに、スーツを着ないシリコンバレーでも、襟つきシャツ+チノパンのようなドレスコードがあったりする)。ビーサンで通勤したっていいかもしれない。飲み会でお酌なんてする必要ないかも知れない。

でも、そんなちょっとしたことで、他者にマイナスの印象をもたれたら「損」だよね。とくに、仕事の実績がまだ明確にならない、若いうちは。それだけのことだ。

若いうちに一番大切なのは、外部の人からの「信頼」を勝ち取ることだ。信頼がある人は、たくさんのチャンスが回ってくる。逆もまたしかり。そして、信頼を勝ち取るためには、単に自分の小さな仕事だけを着実にこなせばいいというわけではないのだ。外部の人たちとどのように接するかという能力も見られているいるのだ。

もちろん、本当に自分にとって大切なことであれば、守る必要はない。ビーサンで通勤することが自分のアイデンティティなのであれば、お酌をしないことが自分の信念であれば、それを許す会社を選べばいい。でも、そこまでではないのであれば、本当に大切なものを守ったり、いい仕事をするためにも、いろいろと気を使うことが必要となろう。

翻って考えると、これって、「ゆとり世代」ではなく、いつの時代も若手は同じなのかもしれませんね。ただ、今の若手は情報量が多いので、常識にそまらず、色々と自分の頭で考えて「おかしい」と問題意識を持っているということなのだろうか。

皆さん、ハキハキと発言をし、やる気に満ちた素敵な若者でした!将来を期待しています。


編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2014年1月18日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。