「明日、ママがいない」は日テレの不祥事か、社会派オピニオンか

2014年01月31日 07:30

■「明日、ママがいない」は不祥事か、社会派オピニオンか
日テレ系ドラマ「明日、ママがいない」の放映について、ドラマ内容の適切性が社会的な話題となっています。

各種ブログ系メディアで「明日、ママがいない」の話題が先々週から持ち切りです。「明日、パパが家にいる」よりマシだろ、という訳の分からない愚痴をこぼす年頃の女の子もいるとは思いますがそれは、それで。

アゴラでも随分話題になっていますね。

タブー化し、ないものにすることが問題の解決につながるのか
「明日、ママがいない」騒動で耳を傾けるべきは施設出身者の声

本記事では、「コンプライアンス」と「リスク・コミュニケーション」という視点でまとめてみます。

■「明日、ママがいない」→「次回、広告主がいない」
まずは、「明日、ママがいない」の話題(炎上)を時系列で整理します。

○1月15日
『明日、ママがいない』は、日本テレビの制作でこの日から毎週水曜日22-23時に、「水曜ドラマ」枠で放送されている日本のテレビドラマ。

○1月21日
全国児童養護施設協議会と全国里親会が会見を開き、「視聴者の誤解と偏見を呼び、施設で生活している子どもたちの人権を侵害しかねない」と批判した上で、子どもへの差別や偏見を助長するような表現を改めるよう求めた。

○1月22日
初回放送後、国内唯一の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を運営する慈恵病院が「フィクションだとしても許される演出の範囲を超えている」として、番組の放送中止や内容の再検討などを求めた。その後、1月22日にはBPOの放送人権委員会に審議を求める申立書を送付した。

○1月27日
1月27日に開かれた日本テレビの定例会見では、当初の予定通り全9話を放送し、脚本や演出の大幅な変更は予定していないことが発表された。大久保好男社長は「抗議やご意見を重く受け止めるが、そのこととストーリーを変えることは必ずしもイコールではない。重々承知の上でドラマ作りが続けられていくと思う。最後まで見ていただければ、理解をいただけると思う」と語ったらしい。

○1月29日
結局、スポンサー企業である8社すべてがCM放送を見合わせることとなった。この日は3話目の放送日で、視聴率はそこまで悪くないそうです。

○意識調査
ちなみに、Yahoo!の意識調査『ドラマ「明日、ママがいない」の放送、中止すべき?』では、「続けるべき、53%」、「中止すべき、37%」、「どちらでもない、10%」となっています。きっちり「5:4:1」で分かれる、賛否ある炎上ギリギリの、話題の取り方のように見えますね。
参照:ドラマ「明日、ママがいない」の放送、中止すべき?

■不祥事とコンプライアンス
では、不祥事とコンプライアンスについて、最新事例を見ながら、その動向を確認してみましょう。

有事において、企業がその優先順位を検討する場合に大切なことは、企業行動が合理的・論理的に対外的に説明できるかどうか、という点にあります。ここを間違えますと、社会的な批判の対象は、あやふやな行動に及んだ企業に向けられることになり、企業はいわゆる「二次不祥事」を抱えてしまうことになります。(社会的反響に怯える(おびえる)名門企業の広報リスク管理について

今回の事例は“有事”であると。平時とは異なり、どのステークホルダーの利益を優先し、どの利益は後回し(もしくは切り捨て)にするか、企業は非情な判断を下す必要があると、この記事の筆者は言っています。

たしかにそうだ。「社会的な批判が大きい番組のスポンサードをしている自社」に対して真摯に対応しなければなりません。

社会的な批判の出ている番組にスポンサーとして資金を提供することは、商品イメージを落とすころになり、短期的には損害を発生させるかもしれません。また、社会施設に対する社会一般の偏見等を助長してしまう結果に加担することになるかもしれません。しかし、番組制作者ではなく、スポンサーという立場において社会問題にどうアプローチすれば社会的な価値を創造しつつ、長期的な視点で事業を成長させることができるのか、そこをきちんと社会に対して説明する必要があると思います。
社会的反響に怯える(おびえる)名門企業の広報リスク管理について

まったくそのとおり。ただ降りればいいわけではなく、なぜ降りたかなど、説明責任を果たさない“逃げ”が一番よろしくないようですね。「CSRとコンプライアンスを再考するための記事10選」、「コンプライアンス経営とは何か? カネボウ美白化粧品問題から学ぶ、不祥事とCSR活動」という記事でも書きましたが、初期対応がめっちゃ需要です。

ここを間違えると、二次不祥事にめでたく状況が変化するということです。

■CMのスポンサードというリスク
CM製作の現場詳細はわかりません。が、少なくともスポンサーは枠外の広告の世界で、「どこのテレビ局のどの番組で、その番組の内容はどんなものか」というのは把握できないでしょうね。

ソーシャルメディアを中心に普及期がすぎ、一通り浸透したウェブの世界は、人を叩く様にできています。何か、ツッコミ所があれば、容赦なく叩かれます。数年前と比べて、かなり広告主泣かせな社会になったのかもしれません。

TVのCMを流す企業は、コンプライアンスや企業倫理・社会規範的行動(モラル)を問われる時代になったと言えます。お疲れさまです。

これ、サプライチェーンの不祥事に似てますね。つまり、直接自社が不祥事を起こしたわけではないのに、取引をする関係会社が不祥事を起こして、その大元も一緒に叩かれるみたいな。

日テレ24時間テレビから学ぶ、出演者ギャラ問題と説明責任問題」という記事も書きましたが、他にもウェブにはクレーマー的な人も多いので、テレビ局の“骨太でガチな”社会派オピニオン番組以外で、人の倫理観を問うような番組作ったら、こうなる可能性が高いとも言えますね。今回の件は、結局誰が悪いとなるのでしょうか。

拙著『この数字で世界経済のことが10倍わかる–経済のモノサシと社会のモノサシ』でも書きましたが、企業は“ウェブで叩かれる”ことをより意識する必要があるかもしれません。

インターネットの浸透によって、企業には新たなコミュニケーション・リスクが生まれた事例だと思います。

ウェブ意見の先にあるのは、不祥事か、それとも、社会的なオピニオンか。というより、ウェブでは、ドラマの内容がそもそも面白くないという話もあるようで、典型的な炎上マーケティングではないかという憶測さえでる始末です。

あなたは、今回の「明日、ママがいない」問題をどう見ますか?ぜひ、コメントであなたの考えを教えて下さい。

CSRコンサルタント
安藤光展

(「「明日、ママがいない」はただの不祥事か、社会派オピニオンか」を修正・加筆し転載)

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