中国人富豪の“移民ブーム” --- 長谷川 良

2014年02月12日 08:47

中国反体制派メディア「大紀元」(日本語版)が2月4日報じたところによると、中国人富豪の移民がブームを呼んでいるという。 

「中国の民間調査機関・胡潤百富が先月に発表した調査報告によると、資産が1000万元(約1億7000万円)以上の富裕層の移民率は64%と前年度より4%上昇したことが分かった。資産が1億元(約17億円)以上の富裕層の3分の1がすでに移民をした」という。
 


例えば、香港紙サウス・モーニング・ポストが4日報じたところによると、「500万豪ドル(約4億5000万円)の投資を行った申請者に発給するオーストラリアの上級投資者ビザの申請者の9割が中国人である」というのだ。中国人富豪の移民ブームは加速してきたわけだ。

興味深い点は、移民する理由だ。①子どもに良い教育を与えるため、②環境汚染から逃げるため、③汚職で得た財産を保全するためだ。現在、中国人の富は海外資産として6580億ドルがあるというから凄い。中国人富豪者が好む移民先は、米国、欧州、そしてオーストラリアという。

中国の富豪の多くは中国共産党幹部の家族、汚職で富を積んだ党員たちだ。彼らは腐敗と汚職で稼いだ膨大な隠れ資金を持って祖国を後にする。

中国共産党創立90周年の祝賀大会が2011年7月、北京人民大会堂で開かれた時だ。胡錦濤・国家主席(当時)は「中国を発展させる鍵は中国共産党にある」と豪語した。その肝心の共産党の党員数は8000万人というが、党員数がここにきて急減している。中国共産党員の中には、党員証より、会社社長の名刺を重視する拝金主義が広がっている。イデオロギーに凝り固まった共産党員はもはや少数派に過ぎないことは周知の事実だ。中国の富豪の移民ブームはそれを実証しているわけだ。

独ダイムラー社の5日の発表によると、中国市場の1月のメルセデス・ベンツの販売台数は昨年同時期より45%増え、2万4000台を記録したという。中国社会では確実に貧富の格差が拡大している。

国の財産を自身の懐に入れるのは中国共産党幹部たちだけではない。最近では、野党勢力から辞任を要求されているウクライナのヤヌコヴィチ大統領は2億ユーロの資金をリヒテンシュタインやスイスに保存していることが明らかになったばかりだ。その意味で、世界は腐敗だらけだが、中国の富豪の場合、奪い取った資金とともに国を後にする。祖国愛などまったくない。あたかも、船が沈む前に救援ボートに乗り移ろうとする船客のようだ。中国共産党政権が愛国主義をいくら啓蒙しても成果など期待できないことは目に見えている。

中国では大多数の国民が日々の糧を得るために汗を流し、大気汚染下で呼吸系疾患に苦しんでいる。そのような中で、一握りの富豪たちが巨額の富を抱え、爽やかな大気を求め欧州のアルプスの国スイスなど生活環境の良い国に移民しようとしているわけだ。

蛇足だが、スイスで9日、欧州連合(EU)からの移民制限を問う国民投票を実施し、制限が僅少で承認されたばかりだが、中国からの富豪の移民も制限したらどうだろうか。

【短信】“サムライ”が列福へ

バチカン放送独語電子版は10日、「一人のサムライが列福される」というタイトルの記事を発信した。列福されるサムライは、キリスト教迫害時代の戦国時代から江戸時代にかけ、イエス・キリストの教えに帰依した武将・高山右近(1552年~1615年2月)だ。

バチカン側は「激しいキリスト教迫害時代に信仰を堅持して、イエスの教えに殉教した」と評価、福者とする列福の審査を実施してきた。担当司教区の福者への審査結果は完了し、関連資料はローマの列聖省に送信済みで、「近いうちに列福される」という。

列福は、徳と霊性が認められ信者に福者の地位が与えられること。通常、聖人(列聖)への前段階と受け取られている。

高山右近は1552年、摂津の国(現在の大阪府)で生まれた。イエズス会のフランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教の宣教を始めて3年後だ。父母が洗礼を受けた後、右近は12歳の時に洗礼を受けた。洗礼名はポルトガル語の「正義の人」を意味するジュスト。

織田信長はキリスト教を保護し、豊臣秀吉も庇護していたが、1596年のサン・フェリペ号事件(26人聖人殉教)後、キリシタンの迫害に転身した。徳川時代に入るとキリシタンの迫害も強化されていった。そのため、隠れキリシタンが生まれた時代だ。

高山右近は1587年、キリシタン迫害が始まると、領土と財産を放棄し、信仰の道を歩んだ。徳川幕府が1614年、キリスト教廃止令を発布すると、約300人の信者たちを率いてマニラに亡命し、その数カ月後、病死した。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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