脱退国出身の国連職員を追放せよ --- 長谷川 良

2014年02月19日 11:23

ウィーンに本部を置く国連工業開発機関(UNIDO)に加盟するG77諸国(開発途上国のグループ、中国を含め現在132か国が所属)が李勇事務局長に「脱退国出身の職員を解雇すべきだ」と要請したことがこのほど明らかになった。

UNIDOから過去脱退した国は、カナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランド、英国、フランス、オランダ、ポルトガルなどだ、それに脱退予備軍としてスペイン、ギリシャ、イタリア、ベルギーの名前が挙がっている。


「脱退国の増加で予算が縮小され、機関の運営が難しくなってきた。経費の88%は人件費と維持費だ。活動に投入できる予算は残りの12%に過ぎない。その意味で、脱退国出身の職員を解雇し、その浮いた資金を活動に投資する」というのがG77の主張だ。

例えば、英国人職員は現在、14人だ。彼らの給料は総額200万ユーロ。フランス人職員は15人、同じく約200万ユーロだ。脱退国出身の職員約50人の総給料は1000万ユーロにもなる。そこで脱退国出身職員を解雇することで浮いた資金を活動費に回すことができるという理屈だ。

知人のUNIDO職員は「李事務局長は年内にもG77諸国の要望を受け入れ、約50人の職員を追放することになるだろう」と予想している。

当方が「脱退国への制裁の意味合いがありますね」というと、知人は「制裁ではない。例えば、フィットネスセンターで訓練するためには会費を払わなければならないだろう。会費を払わない人がフィットネスセンターを利用できないように、UNIDOから脱退した国にも言えることだ。脱退した国出身の職員が脱退した機関で働くことはフェアではない」と強調、「脱退国の企業に対しては機材や関連物質の購入の入札からも外すことになる」という。

G77の要望が受理されれば、UNIDOには米・英・カナダ出身など脱退国出身の職員がいなくなる。「国連の専門機関としては少々奇妙な現象ではないか」というと、知人は「致し方がないことだ」と説明した。

UNIDOは今後、最大の分担金負担国の日本を筆頭に、ドイツと中国の3国を中心に支えられていくことになる。欧州連合(EU)加盟国が次々と脱退しているが、EUの盟主ドイツは現時点では脱退を考えていないという。ただし、UNIDOの財政を監視する外部監査人にドイツ人を派遣し、UNIDOの活動を監視する考えだ。

知人は「UNIDOの腐敗を監視し、改善できない場合、ドイツの脱退もあり得るだろう」と述べた。

日本の場合、中国の反日活動がこれまで以上に激化すれば、日本側も分担金の支払遅滞などの外交カードを駆使して中国人事務局長を主導するUNIDOに圧力をかけてくるかもしれない。いずれにしても、UNIDOは大嵐の中に突入してきた。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年2月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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